蛮族上等!

みなさん、サンキュー・サタン!!

今年はこの聖なる日をどうやって汚そうかアレコレ思案したんだけれど全くアイデアが浮かばんかったのでキリストの深い愛がおよそ及ばぬ蛮族の王チンギス・ハーンの映画を紹介するぞ。

念のため書いとくけど上のトレイラーにあるような合戦シーンがあまりなくてテムチン(後のチンギス・ハーン)と妻ボルテの夫婦の愛の物語の様相を呈してるんだなこれが。

まぁ、日本でも名家の既婚女性を「夫人」というくらいだからこのボルテ・フジンの名は有名なわけなんですけどね。


さて、お話は主人公テムチンが9歳の時に花嫁探しにジョニー大倉似の父イェスゲイに連れられて同盟部族のコンギラト族の集落を訪れるところから始まります。
そこで「そこの坊や、花嫁探しなら私を嫁にもらいなさい」と自信満々に逆ナンしてくる謎の少女と出会います。

父は言います「いい嫁さんというのはな、顔が真っ平らで目が細くて脚力が強い女のことだ、嫁さん選びは慎重にな」

というわけで父の教えにほぼピッタシの神秘的な少女ボルテを花嫁にすることに決めたテムチンは「旅の目的は達成した」とばかりにさっさとお家に帰り、我が家でお母さんのホエルンさんがお出迎えするわけなんですが

ちょっ!

お母さん!!

鼻筋が通ってお目々ぱっちりの「いい嫁さん」の条件から程遠い21世紀型美女ぢゃないの!?(美女かどうかは知らないが「世界ふしぎ発見」のリポーターの竹内海南江似)

お父さん、これは一体どういうことなの?と聞きたいところだけれど旅の途中で父(族長)は殺されたので母ホエルンさんは配下の遊牧民が財産奪って逃げるのをひきとめられずに一苦労。う〜む、確かに脚力がない女はモンゴル族では大成しないらしい。

そんな状態でさらに身内の裏切りにあったテムチン、王位継承者ということで二度と王族に返り咲かないようにと俘囚となって不遇の青春時代を送るのですが(親が会社をリストラされたとか事業が失敗した家の子が学校で教師にあわされるのと同様の憂き目、いつの時代も世の中とはこういうものだ)

なんだかんだで俘囚の身から脱して子供時代の仲間のボルテや盟友(アンダ)のチャムハに会いにいくテムチンなんですが、ボルテはいいとして逞しく成長したチャムハって

崔洋一監督になってません?

というわけで、崔監督の独特の胡散臭さと師匠の大島渚譲りの罵声に耐えかねて(?)宿敵となったテムチンとチャムハ。

仁義もへったくれもないチャムハに対して人並み外れた苦労の連続で完全に精神がぶっ壊れてひたすら「オレイズム」だけで突っ走る狂犬テムチン、どっちが勝っても平和な方向には進まなさそうな戦いがモンゴルの平原に巻き起こるのでした・・・・・



歴史をご存知ならおわかりの通りその後、テムチンことチンキス・ハーンが世界の半分を制するわけでして、どうも蛮族、馬鹿みたいに言われやすい騎馬民族という連中ですが、作物を育てない故に服に皮革を仕立てて着る習慣は今の革ジャンに、馬に乗る習慣はバイクに、何より「流動こそ自由なり」の精神と年長者の叡智より年少者の情熱を尊ぶ価値観は現在のロケンロールの起源と呼べるもの、決して小馬鹿にしてはいけませんよ。

この映画で描かれた、どんなに辛い時期でもチンキス・ハーンが持ちつづけた「オレがオレが」の超自己チュー・イデオロギーとそれをがっちりサポートするボルテのような協力者という大義を成し得る人間のサクセスストーリーの定番パターンを踏まえた上で次回に続くのでした。