サンフランシスコ死闘篇

僕の人生のテーマである60〜70年代、サンフランシスコ、ベルボトムが全て出てくる映画ということで語らないわけにはいかない「ミルク」なんです。

前回の「モンゴル」から数百年、究極の「俺イズム」とロケンロールな感性が世界を再び熱くする時が来たわけだ。
ゲイのイコンである、革ジャン、バイクなんてな文化の起源は東欧からアジアにかけて存在する遊牧民族騎馬民族の文化であるということもお忘れなく。


しかしねぇ、この映画の主人公みたいなゲイってのが「セクシャル・マイノリティの貴族」とも呼べる確固たる地位を持ってるために他のマイノリティ(ロリコンとかトランスジェンダーとか)を弾圧するっていう図式も実際世界のいたるところであるわけでして、かつてヨーロッパでお家柄がよろしいとされるゲルマン人に同化しながらもDV的に虐げられて苦しんでそこから解放を求めてさらに弱い立場のユダヤ人やロマ民族を弾圧した欧州の先住民族ケルト人(ナチスの高官になったような人間の多くがどちらかというとケルト系で、それとわかる容姿や風習を持っていたとされている)と似たような性質を持ってるのは事実なんだよなぁ・・・・


と、まぁそこまで深く考える必要は映画を観る上では全くなくてかつては保守的な勤め人であったハーヴェイ・ミルクが40歳になったのを機に若くてイケてるお兄ちゃんをナンパしてサンフランシスコで自由を謳歌、本当の自由を求めて政治の世界へ飛び込んで多くの賛同者に愛されながらも暗殺されるお話なんですが・・・


どうも主演のショーン・ペン兄貴がちょっとけったいな癖を持ってて途中からミルク氏が生来持ち合わしてる「キラー・キャラ」を掘り下げるのに腐心しだすんよね(笑

40歳までに付き合った男性は3人、いずれも精神に異常をきたしたのか自殺未遂、その後付き合ったイケメンのスコットは「アンタにはついてイケん」と離縁、彼の後付き合ったイカレポンチのジャックは自殺。サンフランシスコ市政執行委員選当選からの盟友であるはずのダン・ホワイトは彼との付き合いから精神に異常をきたしたか彼と市長を殺害後自殺してるわけです。仲良くなった男たちはみんな不幸になっていく、魔性の男ミルクって感じです。

んで、殺される顛末の当たりの展開がなんか

北大路欣也の山中と千葉真一の大友みたいで対比されだすんだ。暗い世界から少しの明かりを頼りに明るい世界を目指すミルクと明るい世界の中で希望の光を失っていくホワイト、って感じで。ミルクと会うまではそんな人じゃなかったのに(笑

世に正義を問うたり、愛や平和を訴えたり、多くの人と共感し合おうとしたりする人間は多いけど人間というのは結局(その意図がなくても)お互い傷つけあうものだということを忘れちゃいけないよ。

という主張がなんとなく映画全体に漂ってるなぁ。それが前提になることで、それでもあえて矢面に立つ主人公のキャラが立つわけなんですけどね。


この映画とこの記事をご覧になる皆さんにはですね「傷つかない権利」よりも「あえて傷つく(or傷つける)道を進む自由」を選び充実した人生を送られることを祈ります。


って、異教徒のお話ばっかり紹介したつもりが結局クリスマスらしくキリストにちなんだようなお話になってしまったなぁ。



おまけ

ハーヴェイの選挙運動をサポートする唯一の女性メンバー・アリソンの乗ってるバイクはホンダのCB(多分350くらい)でミルクを乗せて2ケツで市役所まで走るシーンのバイクはBMWでした。その他ハーレーが権力の象徴として効果的に使われてた。