「ポランスキーのパイレーツ」とは

巨匠、ロマン・ポランスキーがディズニーランドの「カリブの海賊」にインスパイアされて作った、歴史大河ロマンコメディの傑作です。

絵画のような美しい映像と馬鹿馬鹿しくて、皮肉な笑いの要素のミスマッチが秀逸で、特に主役のレッド船長という海賊のボスの守銭奴、冷血漢、外道ぶりが非常に印象的な個性を出しておりました。


この映画の冒頭、イカダに乗って遭難した主人公のレッド船長とその部下(美少年)の二人から始まります。
でも何故か、このイカダにはインカ帝国のものと思しきデッカイ金の像が置いてあるのだ!!
レッド船長は言う


「俺達は念願かなって財宝を手に入れた!これで金持ちだ!!」


イカダで遭難してるのに金持ちもクソもないって!!!!


でもそんなことも一向に気にせず、船長のその部下は助けられた船でも海賊行為を繰り返すのだ。

その間、権力との確執、部下とお姫さまとのロマンス等、映画らしい要素が盛り込まれてラストで、またもお金持ちの船を襲い、財宝を手に入れてまたしてもイカダで脱出する船長と部下。


でも・・・・・・・お姫さまはもういないんだよな・・・・・・・・・・・

落ち込む部下に、イカダの上で財宝を手に入れてゴキゲンな船長はこう言います。

「生きてりゃ、きっといいことあるって!!ほら、お前の故郷のフランスの歌でも聴かせてくれ!」

しょうがなく物悲しげに歌いだす部下・・・・・・・・・・

って・・・・・・・・・・・・・・・・



これって最初とまるっきり一緒やんか!!!?


と、思わずツッコミたくなるラストシーンなんですが、いいんです。

ポランスキー監督の哲学がこの映画にはたっぷりと注がれている。




それは


「生きてりゃ、それで オッケ〜〜〜〜〜〜!!!!!!」


です。


この人ユダヤ人で、子供のころ、ナチスに収容所で両親を殺されたという悲惨な体験をしてきた人です。

その悲しい経験を基にして作ったのがこの映画。

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戦争やホロコーストがテーマの作品なのにあまりメッセージがないです。この映画。


なぜなら、この映画も

主人公が生き残ることにしか意味を持たしてないですから!!!

思想、哲学、正義、大義、全ては生き残ることの二の次であるという、このオッサンのニヒリズム的な信条を表現するためだけに2時間以上が費やされているんですわ。



「生きてりゃそれでおっけ〜〜!!!」とか言ってるヤツを街で見かけたら思わず殴り倒したくなってくる性格の僕ですが、この監督の人柄と言おうか、積んだ経験の違いと言おうか
何故か許せてしまうのが不思議です。



それと、この監督、かなりのスケベらしくて、彼の監督する映画に出てくる女優さんの艶やかなこと!!!
スキモノにしかだせない、色気とかを見事に出しております。



こんな美女と仕事できるのも 多くを望まずひたすら生を渇望した時期があったから。




多分、そんなことを独特の鼻声でしゃべってるんでしょうな。この人。