L’HISTOIRE DE LUPIN

見てまいりました。「ルパン」

日本人の僕としてはどうしても「ルパン三世」と比較してしまいますが、本家ルパンの名に恥じない出来でした。
(やっぱりルパン役は猿顔なんだよな)

数多くあるルパンシリーズをアレヤコレヤと一本の映画にぶち込んであるのでストーリーがちょっと破綻気味。でもそれを伴ってあまりある(もともとミステリー小説だからストーリーの完成度より謎解きとかミステリーの質を楽しむのもアリかと)中身の濃さ。

とりあえず、ルパンという人間の人となりが当時のフランス、ヨーロッパを反映しているのです。
それも歴史の一点でなくその変遷ですね。

ナポレオンの台頭から王政復古、社会主義の勃興とめまぐるしく世相が変化する19世紀と、

戦争の世紀と呼ばれた20世紀の間で活躍するルパンには時代に産み落とされた宿命が備わってたりします。(ストーリーと関連してるので詳しく話せません)

とりあえず参考にしてほしい映画がコレ

赤と黒 [DVD]

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パルムの僧院 《完全版》 [DVD]

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*注:上の作品はあくまで19世紀前半、ルパンの時代とはかけ離れております。でもルパンの人間の気質はこの頃のフランスにて確立。

こんな動乱のあとに生まれたルパン、その出自は悲しい宿命を背負っております。

それは植民地で祖国フランス万歳と叫びながらも祖国に見捨てられ時代の流れに飲み込まれて、そしてかつてのフランス的美徳から離れていく20世紀の植民地のフランス人のようでもあります。

愛人(ラマン) 無修正版

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参考に。

どうもジェームス・ボンドとかって時代性を感じさせつつも連続性がないんですよ。その時代の一点に集中しちゃう。

でもルパンにはそれがあった。

アレコレとややこしい仕掛けを凝らしつつもそういう今まで描けなかった部分をしっかり描いている。凄いぞ、と。

そういうえば、日本のルパン三世、「カリオストロの城」でも封建時代の生き残り的性質を持つカリオストロ伯爵は大時計の針に挟まれて死んでしまう。

ルパン三世 - カリオストロの城 [DVD]

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もしかしたら宮崎駿監督はアニメに希薄だった時間の概念を取り入れる、というか歴史というものをアニメに盛り込んでストーリーに奥行きを持たせようという実験でこの作品を作ったのかも・・・・