苦い信子より甘い今日子

悪党 [DVD]

悪党 [DVD]

前々回で紹介した乙羽信子新藤兼人コンビによる傑作。

室町時代直前の「太平記」でお馴染み南北朝の時代を舞台にした谷崎潤一郎原作の傑作時代劇。
(タイトルの「悪党」は当時、地方から進出してきた新興勢力の武士団のことです)

いきなり、戦に勝利した軍勢が倒したサムライの生首を槍の先に刺して凱旋するところからスタートします。

この時点で僕の中では傑作決定なんですが、中盤には大量斬首シーンも盛り込まれててサービス満点ですね。(何の?)

で、このお話は京で宮仕えをしていた絶世の美女「顔世」を巡って巻き起こる愛憎劇と権力闘争をドロドロとしたリアリズムで見せてくれるわけなんですが、何と言っても見所は

宮仕えから地方武家に嫁ぎ権力に翻弄されながらも健気に生きる、若さと美貌と教養を兼ね備えた京風の絶世美女を

入浴シーン、情熱的なキスシーン、さらには胸をはだけさす等の体当たり演技で見せる岸田今日子の熱演に尽きると思います。


物語の最後は岸田今日子の生首を掲げた乙羽信子の高笑いで締めくくられる、というこの世のものとは思えないエンディングになっております。
(しかも、その首がニヤリと笑う)



ところで、この作品中の乙羽信子は元宮仕えということで「源氏物語」に出てくるような恰好をしてるんですが、その顔つきがなんと松嶋菜々子によく似てるんですね。(笑い方と横顔がまるっきり一緒!!)

というわけで、松嶋菜々子の今後に非常に期待が高まってしまった作品でした。