サバービア・オブ・ザ・デッド

今回は「ショーン〜」について書いてみたい気分です。

このブログ、なんか最近ゾンビで一杯ですね。そしてミュンヘンと。

ゾンビ、ミュンヘン、ゾンビ、ミュンヘンって感じで。


サバービアの憂鬱―アメリカン・ファミリーの光と影

サバービアの憂鬱―アメリカン・ファミリーの光と影

「ショーン〜」はイギリスのロンドン郊外の映画なんですが、大場先生がこだわる都市郊外が舞台なんで「サバービア」の概念が適応されると思ってます。

で、

この映画の肝の部分なんですけど、さえない主人公のショーン君の日常ってのが「右から左」の移動で表されてるんすね。

そして、ゾンビが襲ってくる、という「今、そこにある危機」が「奥から手前」にせまってくる形で表現されてるんすよ。(でも、トロいショーン君はそれに気付かない、「志村〜〜、後ろ〜〜、後ろ〜〜」と一緒)

これって、都会の喧騒を離れて静かに暮らしたがるサバービアの人たちの心境を皮肉ってるんすかね?(別に皮肉ってなくても一向に構わないんだけどね)

「俺達には外の世界で何が起ころうと関係ないよ」っていう閉鎖的な考え方ですね。

そうして限られた範囲で生活して満足しちゃってるのを点と点を結ぶように「右から左」の移動で表現して、無意識に目を背けちゃってる現実の問題(この映画ではゾンビ)を「奥から手前」で表現してる、ということにすると話の流れとうまくマッチしてて何とも見事な演出ということになるよね?

とりあえず、こういう空間的な奥行きを巧みに使った演出って、なかなか巧く使える人って意外と少なくて個人的には感心しました、S・キューブリックの「2001年〜」以来に。

*おまけ

フランス人曰く、「イギリス人は歩く時な前ばっかり見てるから横から石を投げても気付かないからよけられない」ということらしいので、上の演出ってイギリス人であることへの自嘲なのかもね。