掟破りの狸御殿

前回の続きです、ネタバレにご注意ください。

ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)

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これが原作です。

僕はおそらく一生読まないです。

基本的にファンタジー興味ないからね。



前回の映画「ゲド戦記」が昔の大映映画と市川雷蔵へのオマージュにあふれた映画である、という暴論の証拠を挙げるわけなんですがまず

この映画に出てくる竜は狸御殿の狸とキャラ(と能力)がほぼ一緒です。

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そしてヒロインが劇中で歌い出すんですがそれって大映お得意の股旅ものぢゃないですか!
(旅の一座とか渡世人が主人公の時代劇、旅の道中がミュージカル仕立てになるのがお約束)

しかも、悪役の魔法使いクモの男とも女ともつかないルックスと腕を斬られる展開はこれ!

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この中に出てくる酒呑童子(BL系)の一の子分の茨木童子(やっぱりBL系)ぢゃんか!
(そういやテレビで見た「ハウル〜」のハウル茨木童子がモデルっぽいルックスだったな)

挙句に主人公の名前アレンは作品世界では「剣」の意味、ということはコレ!

剣 [DVD]

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以上紹介した全作品には市川雷蔵が出演しております。

雷蔵先生といえばこんな作品もありましたな

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主人公アレンが心の闇に揺り動かされて国王である自分の父を殺してしまう最初の展開はなんとなくこの話と似てます。

「ゲド〜」のテーマの中には主人公アレンの苦悩、未来への不安、死の恐怖というのがあるんだけど、それを表現する手段として「もう1人の自分」と対峙するシーンが何回も出てくるんだね。

これは雷蔵晩年の「眠狂四郎」シリーズ後期の作品(どの作品だか忘れたけど)の中の鏡の中の自分と狂四郎が向き合って自分自身と対峙し、刀で鏡を叩き斬るシーンとよく似ております。

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このシーンは病に苦しみ、死の恐怖や不安と向き合っていた当時の雷蔵を象徴するシーンとしてファンの間では語り継がれている有名なシーンらしいです。
(NHKのドキュメンタリーで知りました)

筆数の少ないながらしっかりと描かれた、主人公のニヒル(厭世的)な表情といい(性格は全然違うけど)どこか狂四郎を思わせることしきりでした。



というわけで以上の証拠から
宮崎吾朗(か高畑勲ジブリの他のスタッフ)監督は

偏執的なまでの大映映画、市川雷蔵マニアである、と認定いたします。