ジェシーに口づけ
というわけで観て来ましたよ「ジェシー・ジェームスの暗殺」
ブラッド・ピットがかの有名な列車強盗のジェシー・ジェームスを演じるとあってはガキの頃からジェシーのファンだった僕としては観に行かずにはおれんかったです。
しかし「モーターサイクルダイアリーズ」でロバート・レッドフォードがチェ・ゲバラの映画を作ったかと思えばロバート・レッドフォードの愛弟子(というかそっくりさん)のブラッド・ピットが同じくヒーローと崇められてるジェシー・ジェームスの映画を作るとは・・・二人は確信犯か?
ジェシー・ジェームスといえばアメリカ南部の英雄として祀りあげられてて、頭の悪い白人の中ではジェシーという名は日本でいうところの「翔」みたいなDQNネームに挙げられたりするくらい影響力がある人なんですが、この映画のジェシー像はというと
「地獄の黙示録」のカーツ大佐やないの。
南北戦争直後に相応しくない襟に毛皮のついたヤ@ザコートに身を包みこれまたゲバラやカストロを匂わせる葉巻をくゆらせる姿はどうみても20年代のシカゴのギャングなんですよ。
おまけにこの人長年の逃亡生活の末に人間不信になってて、裏切りそうな仲間を次々に殺して行っててその後へタレのフォード兄弟を脅して手下にして懲りずに銀行襲撃を画策するんですけど、その姿たるやどう見ても「嗚呼!!花の応援団」の青田赤道と新入りの団員にしか見えない有様なんですな。
そんなおっかなびっくりな生活に耐えかねて史実にあるようにフォード兄弟はジェシー・ジェームスを殺害します。
ここからの展開というのがギリシャ悲劇的というかジェシー・ジェームスが本来辿るであろう運命をフォード兄弟が辿るハメになっちゃうんすよね。
個人的にはブラッド・ピットが演じる正義の悪漢ジェシー・ジェームスが金で世の中どうにでもなると思ってる卑劣な北部の金持ちどもを正義の銃弾でぶち殺しまくる勧善懲悪西部劇にしたらと思ったりもしたんですよ。だってどう考えてもジェシー・ジェームスなんて今で言えばイラクで自爆テロやってる連中なんすから。つまりテロが善いもん。
それで「ああ、俺たち(アメリカ人)が今イラクでやってることはジェシー・ジェームスを敵に回してお上のケツ舐め回してるだけなんだ、カッコ悪いことなんだ」と多くの白人が気付いてくれやしないか?と思ったりもしたんですが、さすがにそんなアナーキーな映画はハリウッドは作れないでしょう(笑
とりあえず、ジェシー・ジェームスという、いわゆる健全な市民生活において脅威となるべき存在を復活させてなおかつ成人式で浮かれ気分の都市郊外のシネコンに送り込んだブラッド・ピット、リドリー&トニー・スコットの3名はちょっとしたハリウッドのテロリストといったところか。