車磨きは心磨き

いや〜、びっくりしましたね〜、年末に僕がケータイ小説風のつもりがケータイ小説を一個も読んだことないもんだから小学生の作文風に仕上げた「無法松のバニシング・ポイント」にマジ似てるじゃないですか、イーストウッド爺の新作「グラン・トリノ

アメ車がテーマで主人公の名前がコワルスキーで僕が話考えた時のお題として挙げた3つのポイント「戦争、アメリカ、無法松の一生」を全部踏襲してるしな・・・。というわけでイーストウッド爺にアイデア料として収益の2%くらい僕の口座に振り込むよう要求します。関係者の方連絡待ってます。(来るか!)

んで、この映画の中にですね、イーストウッド爺が愛車のグラントリノをピカピカに磨き上げる(ウエスで拭いてるだけにしか見えないんですが)シーンがあるんです。

アメリカの車文化の一つに車をピカピカに輝かしてピカピカ具合を競い合う「ピカピカ・コンテスト」みたいなのがあって、自動車というものを「文明」としてしか認知できずに「文化」として認知できない手合いからは「キモい」と思われがちで「人を愛さず心無き自動車なんかに愛情注ぐ哀れな行為、ああやだやだ」みたいに言われるわけなんですね。

んで、アメリカの自動車産業といいますのが全て「非アングロサクソン系」の北欧東欧の人たちが旧フランス領だった土地で作り上げたもんなんで、英検やらTOEICやら受けまくってきたような「アングロサクソン至上主義」な人たちはですね、英語圏の文化であるにも関わらずアメ車とその周辺の文化については本当にボロクソにけなすんです。

そのけなす矛先が自動車本体でなくその文化に行った時に一番にやり玉に挙げられるのが前述の「車磨き」なんですが・・・



アメ車自体は北欧東欧系が牛耳ってるのは事実だし、ローライダーとかその周辺文化もアングロサクソンの「ア」の字も出てこないけど「車磨き」だけは英国由来の文化ですよ。

大体、イギリスってガーデニングとか「お手入れ文化」が盛んなとこじゃないですか、ほいで「キラキラ」とか「ピカピカ」が大好きという特性も深夜のテレビショッピングの洗剤でお馴染みだし。70年代のグラムロックの映像なんかが一番わかりやすいかな。
(追記;嘘だと思うんならオートOックス行って確かめてみ。「磨き」のコーナーだけはユニオン・ジャックが舞い踊ってるからw)



アメリカ人なんて大雑把だから「ワックス塗ってハイおしまい!」なんですよね、絶対「磨く」とこまでいかないんですよ。


イーストウッド爺ってのがアイリッシュの人なんでイギリス的なものに対して抵抗とか嫌悪感を持ってるんですね、昔から。
だから偏屈ジジイの怪行動の一つとしてこの「車磨き」を選んだんだと思いますよ。

でもまぁ、北欧、東欧から移民してきた人たちに対する差別意識を持ってる輩から見たら車磨きしてる風景みても「これだからバイキング共は」の一言で片付けちゃうんでしょうけどね。



あと、映画は観てないんですが、あらすじだけ読んだ感じとして、昨今のアメリカBIG3の経営レッドゾーンにからめて「日本のトヨタ、日産よ、あとは頼んだぞ」という瀕死のBIG3からの遺言っていう感じはしませんけどねぇ。

派遣労働者を安い給与でこき使って国内の車が買えない層を増産させまくった(ついでに景気悪化の引き金も引いた)上記の日本車メーカーをつぶして腕のいい職人を育てて手厚く保護するアメリカの自動車産業の方を発展させるべきだと思いますよ。人類の行く末を考えるんならね。

というわけで「グラン・トリノ」の正しい見方は

「アメ車にはこんなに素晴らしいん文化があるんだから派遣労働者を搾取してるどっかの国のタコ助メーカーはぶっ潰してBIG3を救済しよう!!!というイーストウッド爺の熱いメッセージ」

というのでよろしいかと。