東映スカーフェイス

というわけで「顔に傷」のお話です。
(関係ないけど上のPVで素っ裸にされてるジム・フローレンティンさんはアメリカの伊藤政則さんみたいな人だそうです)

その昔、京都というところは時代劇が盛んに作られておりまして、明日のスターを夢見る美男美女が日本全国から集まってくるところでした。

んで、そんなところですから日本全国から集まってきた色男たちは生活のためにマダムのヒモになる人もいたでしょうし、純情なお嬢さんをかどわかしたりするような輩もいたでしょう。とにかく色恋沙汰のトラブルが後を経ちませんでした。

そんな時に馳せ参じる連中といえば893なわけですが、こいつらは不届きな色男に制裁を加える時に必ず

顔に傷を入れるんですな

「もう二度と悪させんようにしたる」ということなんです、「女性の皆さん、コイツはスケコマシですよって近寄ったらあきまへんで」というサインになってるんですね。
しかし、明日のスターを夢見てはるばる京都にやって来た色男たち、顔に傷がついたら夢はあきらめないといけないわけでして、京都の夜の街にはうらぶれた傷メンがあてもなくうろついているのがよく目撃されておりました。といっても数十年前の話なので今は知りません。

かくいう僕の昔の友人にも傷メンがおりまして目元にすごい切り傷があるんですね。長身でハンサムなのは間違いなくて男同士でつるんで行動するのが大嫌いな男だったんで仕事以外では常に女と一緒にいましたね。んでコイツの携帯には複数の女性のプリクラが一人一枚ずつ至る所に貼ってありましたわ。「一体どうなってるんだ?コイツ」と思いましたけど。人当たりのいい色男なんですが極端に「ホモソーシャル」を嫌うところや女狂いのところが災いしてトラブルが多かったんでしょうな。


そして、その昔「暗黒街最後の日」という東映やくざ映画ありまして、その中で若き日の(白くて細い!!)梅宮の辰っつあんが敵対するヤクザに拉致されて顔中に傷を入れられるというシーンがあるんですが、実はこのシーンはこういうことを暗示してたんですよね。ストーリーにはまったく関係ないんですけどね(笑

どうも顔に傷のある人っていうと「スジモン」っていう風に思われるんですが、スジモンのスジは「川筋」のことで「顔にスジが入ってる」という意味ではないんですね。おそらくこれはほぼ世界共通の認識だと思うんで

この「スカーフェイス」も「トラブルメーカーだけどいい男」みたいな感じで付けたタイトルというのが本当のところであろうと。

さて、僕が少年時代を過ごした田舎というのが京都にほど近いところにありまして、ケバケバしい恰好のおばさん(ヤンママと言う言葉はまだ無い)方がどこからともなく現れてどこからともなく消えていってたんですが、どうやらこの人たちの多くは京都市内から来ててトラブルを起こして居場所が無くなって流れてきたような人たちみたいなんです。

そんでまぁ、このおばさん(まだ若くてキレイでしたけど)方というのが普段はスレた態度で近寄りがたいんですが、土建屋の社長やら市長やらの地方の有力者が来ると「ンまぁ!センセェ!!」と急に猫なで声出して呼んでもいないのに飛びついていくのを子供ながらに唖然としながら見てたもんです。

この曲を思いだしながらね(笑


華々しい芸能界の裏側が垣間見れるエピソードですな。
ヘヴィメタルの歌詞に出てくるドラゴンやら吸血鬼やらといったファンタジーのアイコンは実は裏の社会を徘徊する人間の暗喩である、というのは有名な話ですが、今回最初に紹介したPVも上記のような裏話を踏まえて鑑賞すると味わい深いものがありますな。