神は細部にだけ宿る?

いや〜、すごかったなぁ、「2012」カタストロフ映像だけでもお金払って劇場で見る価値あったわ。

んで、映画としてどうかというと、これが「細部のこだわり」に腐心して「話の根幹」自体が結構適当なんすよね(笑

ストーリーは昔イギリスでよく作られた「地球が滅亡しちゃうぞ」系のSFものなんですよ。最後に地球から宇宙船で脱出して(そんな技術あるんだったら災害の原因をなんとかしろ、と思ってしまう)地球によく似た惑星に移住するとか地球が爆発するんだけど月が2つ3つ増えるだけでなんとかなるとか、あれの焼き直しなんです、まぁエメリッヒ監督の映画はみんなそうなんですが。

そしてこういう映画は群像劇(「グランドホテル形式」という)になってまして各人がいろんなシチュエーションでパニックに巻き込まれるんですね、でも毎度毎度でこれも飽きられちゃうんでそこらへんをより突っ込んで「大喜利形式」とも言うべき各々がおかれたピンチ(お題)からの脱出(回答)をしつこさ全開で描いてるんです。いろんな人がいろんな思惑で「あるもの」を目指して突き進む。時に座布団の取り合いもあるぞ、と。

ぶっちゃけ、「でっかいストーリーの細部を断片的に組み合わして物語の流れにする」ストーリー展開が「イングロリアス・バスターズ」と一緒っす。
どうもハリウッド映画の脚本って流行りがあるみたいですね。どちらの監督も「誰も評価してくれない小技」みたいなのを一杯持ってるしね。

んで、映像(とくに最初の火山の噴火がすごい!)以外で面白ポイントはG8首脳の描写でして敬虔で信心深いイタリア首相とか博愛主義のドイツの女性首相とか何故かロシア大統領の舎弟になってる日本の首相とか皮肉がきいてるとことイカレポンチすぎるウッディ・ハレルソンですかね。

さて、この映画の主人公のジョン・キューザックさん扮するお父さん(離婚済み)フランス系という設定らしく娘にリリーなんて名前をつけるくらいなんですが、このお嬢ちゃんがお帽子が大好きなんですね。

んで、劇中いろんなお帽子被ってて最後に軍人さんからもらった軍帽を被ってるんですが、帽子から出てる髪の毛の間からお耳がちゃんと出てるんです。

これって確か昔だったらちょいとこ洒落たフランス映画くらいでしか出てこなかったオシャレのディテールなんですが、タランティーノが「イングロ〜」の中で怠ったポイントなんですわ。

これは日本ではドン小西の次くらいにオシャレにうるさい(うるさいというだけで本人がオシャレとは言いませんよ、ええ)僕から言わすと致命的な瑕疵(しかも女性のファッションコーディネートでゲイに負けたらちとマズい)でして、「ストレートロングの女性が帽子を被った時に髪の毛の間から耳が出ているか否か」という基準で「イングロ〜」より「2012」の方が勝るとさせていただきます。こんなとこに目がいくのは日本中で僕だけでしょうが、神は細部に宿るのです!