未来永劫放送禁止


はいっ!はてな運営部が嫌がるような映画ネタはシーサーでなくこっちに書くことにします。


ということではてなに対するネガキャン第1回は「サンシャイン2057」です。

日本人ならどう考えても「クライシス2050」というバブル絶頂期にNHK製作して大ゴケした映画とプロット(こっちは太陽が爆発するのを止めに行く)と酷似しててお話の時代2057年もちょっとそれに関連付けてるんだね。まぁ、こういうのはネットだとパクリとか叩かれるんでしょうけど「UKだからオマージュってことでオッケ」ということなんでしょう。何のお咎めもございません。


それにしてもこの映画のもの凄さはみなさんの想像を絶してます。(それ故ヒットせず)
何しろ太陽がシケって消えそうになってるから地球から産出される全ての核物質をかき集めて作った核融合炉を太陽の中心にぶちこんで太陽を復活させようというお話なんですよ。

んで、太陽の衰退が自然の摂理だとすればそれを人工的に復活させるのってそれに反するというか宗教的に見たら神の領域に入っちゃうってことじゃないですか?

それをあえて行って神を越える!これが人類の生きる道なのだ!というエヴァンゲリオン的な(ニューエイジ的とも言うか?)テーマが映画全編で語られるんですね。んで、その神を越える手段が原子力で、そのチャンスは1回こっきりで一か八かというギャンブル的なスリルも全編に漂ってます。こういうチャンスに賭けるのが自身を成長させる鍵だ!って感じで。


ギャンブル指向

ニューエイジ(この場合は宗教的だが宗教や神を否定する思想とお考えください)

原子力礼賛(ウランの鉱脈を押さえてるのは英国王室、つまり核の種は全て英国製なのだ)


This is England!!!


と思わず叫びたくなるくらい英国的すぎるくらい英国的なSF映画なんす。
(60年代くらいは「デイアフタートゥモロー」みたいなのばっかだったはずだけど)


リスクを顧みず一か八かに賭けるギャンブル魂と神を越える気概とそれに必要な禁断の科学、さぁ、君も誰も到達しえなかった世界を体験しよう!!

という「幸◯の科学」の映画なんぞがハナクソ程度に見えてしまうくらいスケールのでかい21世紀型”カルト”映画である本作、エヴァとの類似性も指摘できるが何を仰るうさぎさん、ああいうのは元来イギリスの専売特許ですがな。


それにしても主人公をこういうのが一番似合う藤岡弘みたいなのでなくどう見ても ”ねずみ男”そのもののキリアン・マーフィーが演じてるところがこの映画のミソで、この「歩く貧困」が途中に出てくるエヴァ使徒みたいな役目の(神の領域に行かせまいとする)”ズルムケフリチン男”と対峙する様は逆説的に話のスケールのでかさを強調するのに成功してて「2001年」が科学のお話から一気に哲学の話に切り替わるのにこっちはあくまで科学の力で神の領域の到達する(つまり哲学とか宗教的なのを否定する)、そしてそのキーが原子力であるという、福島原発の惨状を鑑みると未来永劫放送禁止が妥当と判断せざるを得ない映画なんですな。


ワタクシ自身は映画のテーマには一向に賛同できませんが(この手の「越えねばならぬ」と呼びかける思想を個人的には「親殺し」と呼んでます)カルト映画として人生の内で一度は観ておく価値のある力作であると思います。

なお、監督のダニー・ボイルさんは「越えねばならぬ!」の思想が昔から強くて倫理を無視した映画をよく作る人ですが、今回活動写真の限界に挑戦したかのようなモラルの破綻ぶりです。あらかじめこれは言っておいた方がいいな。