勝田ズ・ウェイ  3

皆さん、メリー節分・アンド・メリー針供養!

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いやぁ、まだ序盤もいいとこなのに書くのがしんどい。というわけでセリフをとことん省略してちゃっちゃと話をすすめます。
例によってこのお話は100%フィクションであり劇中の個人・団体・事件はすべて架空(固有名詞は若干実在する)のものです。クルド人に関する記述も実際のクルドの人たちとは一切関係ございません。


お話はエヴィンちゃんが社員研修から戻ってきたところからに戻ります。黙々とバイクいじりをしている勝田くんなんだけど実はこのバイク、昨日バイク屋から修理されて戻ってきたところなのだ。だから修理するところも整備するところも実は無い。 
では、何故一生懸命いじりたおしてるのかというと時間稼ぎだ。今日エヴィンちゃんが勝田んちに寄った理由はわかっている。そろそろ「アレ」について真剣に考えろと言いに来たのだ。「アレ」とは結婚な。でも勝田くんが今はどうしてもそういう気になれないのは前回書いた通り。そして、エヴィンちゃんが結婚を急ぐのはもう2度と勝田くんが不良に成り下がらないように早く身を固めて欲しいという希望があるからなのは前々回書いたとおり。

それでは、ここでイメージが沸きやすいように二人の容姿について書いておくと、勝田くんは背は高く華奢な体つきで顔もわりと男前の部類に入る感じの男だが雰囲気が何しろ気苦労が多かったせいかちょっと陰気くさい。気立てのよい娘さんのエヴィンちゃんと連れ立ってた時間が長いおかげか体育会系みたいなむさ苦しさは無く物腰が柔らかく温和でやさしい青年に見える、が中身はやんちゃな兄やんそのもので恰好もボサボサの頭(自分ではイケてるつもり)にいつもディッキーズのパンツにバンズのスリッポン。
ヴィンちゃんの方はクルド人というと中東系の濃い顔立ちを想像されるかもしれないがショートヘアの黒髪であっさりした顔立ち、よく見たら日本人では無いかな?くらいの感じで目立たない。恰好は基本ブラウスにジーンズという質素なものだが色鮮やかな民族衣装のショールやスカーフを季節に合わして上手に重ねるので貧乏臭さは皆無だ。前にも書いたが几帳面な性格なので立派な手帳を入れたバッグを常に持ち歩いている。

さて、先ほどエヴィンちゃんに後ろから景気良く抱きつかれた勝田くんだが、彼女が抱きついたのにはわけがある。勝田くんのディッキーズのパンツの尻ポケットに入っている携帯を取り上げるためだ。そして携帯の着信履歴を勝田くんの前で確認するエヴィンちゃん。画面にはちゃんと30分前にエヴィンちゃんからの連絡が履歴で残っている。勝田くんに駅に着いたから迎えに来いと催促する内容のメールも入ってる。勝田くん、エヴィンちゃんに会うのがわずらわしくてこれらを無視していたのだ。これに怒ったエヴィンちゃんは抱きついた状態で左手で勝田くんの首をロックして右手でこめかみに3発グーパンチをおみまいした。エヴィンちゃんが内気な少女からチャキチャキとして少し気性の荒い下町の娘さんに成長したことに戸惑っているのも勝田くんがエヴィンちゃんに会いたがらない理由の一つだったりする。そんなこんなでバイクいじりの時間稼ぎが限界に来て、その間エヴィンちゃんが煎れてくれたお茶でおみやげの饅頭を食べながらエヴィンちゃんの社員研修の土産話を勝田くんが聞いてた時に突然「ところで」とエヴィンちゃんが切り出してきたので勝田くんは「そらきた」と思い、正直に今の気持ちを述べた。心の整理ができるまでもうちょっと待って欲しい、と伝えたのだが向こうは「具体的な話をしに来たのであって気持ちの問題は気持ちの問題なのでその気になれば今すぐにでも解決できることだろう?(至極もっともなご意見です)」、ということになって口論に。結局気を悪くしたエヴィンちゃんは帰ってしまった。

1人残された勝田くんもボロクソに言われてムシャクシャしたので気分転換にバイクで山にひとっ走りに出かけでしまった。

徒歩15分の道のりで勝田んちから自宅に帰って父親と一緒に夕飯をすましたエヴィンちゃんの携帯にメールの着信が。近所の友人のさゆりちゃんからだ。このさゆりちゃんは勝田くんとエヴィンちゃんの共通の友人で元々米田村の住人だったが親の離婚で麻田市に引っ越してきたのだ。この子の兄貴というのが黒田くんという、そこら界隈のワルの兄やんの間では超有名な男だが、現在トラブルを起こしてヤーサンに目をつけられて姿をくらましている。メールのやりとりでエヴィンちゃんがムシャクシャしているというので「そんなら今からボウリングでも行こうか?」ということになって国道沿いにある大きなボウリング場に向かうことになった。


ペースが遅いですがここら辺で今回は終了。続きます。