またまた野沢先生

今日は宮城県周辺で大きい地震があったようですが宮城県の皆さん大丈夫でしょうか?

地震で直接被害に遭わなくても、その後突然に体調を崩すおそれもありますのでご注意くださいね。


え〜と、前回のつづきです。
ネタがなくなったのがバレバレですが、2日もお休みしたのでガンガン行きます。

その昔、80年代中頃に「少年サンデー増刊号」という雑誌がありました。
この雑誌、中高生の読者をターゲットにしていた当時の少年サンデーがその読者層よりさらに下の年代を対象にして作ったのがこの「〜増刊号」だったようです。

この雑誌は時たま、映画の脚本家さんやタレントさんに漫画の原作を依頼することが多く、ちょっとした話題を呼んでおりました。


その脚本家さんの中に野沢先生がいらっしゃいました。
で、当時デビューしたての絵が島本和彦調の藤原昌幸先生(現:富士原昌幸先生)とタッグを組んで、ちょっとワイルドなアクション漫画を描いておりました。
(申し訳ないがタイトルが思い出せません。そして単行本にもなってません)


この漫画の中で、野沢先生脚本の「Vマドンナ大戦争」の主人公と同一人物の「さやか」さんが、昼はウェイトレス、夜は悪い暴走族をやっつける正義のヒロインという役どころで出てきます。

で、この暴走族の行き着けのバーにいつもさやかさんがいるわけですな。


この暴走族のボスというのが大会社の社長の息子で親が街を牛耳っているのをいいことに不良を集めてやりたい放題しているのです。

そこでさやかさんが「見ちゃいれらない」と、暴走族をやっつけるわけなんですが、

このボス、実はさやかさんに惚れてます。

で、さやかさんの前でいっつもいい恰好をしようとします。

なんか設定のハードさのワリにノホホンとしたお話だなぁ、と子どもながらに思いましたがこれが最終回でひっくり返ります。


このボスの親父の会社が倒産してしまい、勢いのなくなった暴走族は解散、金も権力も仲間も全て失ったボスの前に悪魔のような流れ者の暴走族が街に押し寄せてきます。


最終回では何故か今まで悪役だった暴走族のボスが主人公になるのです。


天涯孤独になって、なお、自分のメンツにかけて流れ者たちをやっつけようとするかつてのボスに助けを差し伸べたのは さやかさんでした。

どうやらこの時はじめて さやか はボスのことを男と認めたようです

そしてさやかの協力で流れ者を追い払ったボスは自分と向き合うため街を出ていくことに・・・・



かつて金と権力と数の力でやりたい放題だった暴走族のボスが、それらを全て失って、初めて本物の「男」へと成長していく、どうやらこれがこの漫画で野沢先生が描きたかった部分のようです。

それをやさしく見つめる さやか は野沢先生自身の投影だったのか?それとも、人生の支えになってくれた人たちのイメージを集めて作ったのか?




ところで、この漫画、バブルの初期の86年ごろに連載されていたと思います。
バブルで浮かれる日本の当時の若者はこの漫画に出てくる暴走族のボスと人格的に大差ありません。
そしてその後、ボスと同じように全てを失った人間も数多くいます。

しかし、僕も含めて、何の支えもなくなっても一人の男としてたくましく成長していく男性や、何事にも常に自分を見失わず信念に従って行動できる さやか のような女性はバブル後も育たなかったですよね。(当たり前だ、漫画なんだから)





なんか、実家で昔の漫画の話を兄貴と一緒にしてて、ふと、この漫画を思い出しました。



そして、青空を見上げて 今の日本を天国から眺めて「なっちゃいないな・・・」と さやか のように愛情を込めてつぶやく野沢先生を想像してしまいました。