仏文学スーパースター列伝2

すいません、昨日かく予定でしたがサボってしまいました。

バルザック(バンドの方ではない)です。

バルザック全集 8

バルザック全集 8

この方の作品というのは社会の一場面を切り取っていかにリアルに表現するか、ということに目標を置いた作風でして、当時のフランスの社会を知る上でもこの人の諸作品は貴重な資料と言われております。

社会の一部分を切り取るだけでは飽き足らず、今度はそれらを組合して社会全体を包括的に表現してみよう、という試みを実践するわけです。それが

「人間喜劇」です

これは様々な立場の様々な人物の人生を描くことで社会のを縦の軸(社会階層等)や横の軸(地域、イデオロギー等)などで織物のように縫い合わせ包括的に表現した画期的な作風の作品群です。(ちなみに喜劇といってもお笑いではありませんよ)

ちなみにこの人間喜劇を手本にして描かれた日本のマンガがこれです

カムイ伝 (1) (小学館文庫)

カムイ伝 (1) (小学館文庫)


この試みを実践するためにバルザックはある画期的な手法を考え出します。

「人物再登場」です。

これはある作品の登場人物を役割を変えて別の作品に登場させるという手法です。
これによって作品と作品という点と点がある登場人物によって線で結ばれるわけですね。
そうして色々なタイプの人間の運命が交差して作品自体にも深みを与えるわけですね。

この手法を映画でもっともうまく使ったのがこれ

パルプ・フィクション [DVD]

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そしてタランティーノ監督がファンだった深作欣二作品のこのシリーズ

仁義なき戦い [DVD]

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前の作品で死んだはずの梅宮辰夫や松方弘樹渡瀬恒彦が別の役で復活したりします。
(すいません、これはネタです)


ところでかの映画評論家の「シベ超」こと水野晴郎氏は昔、井原西鶴の「好色五人女」を自身の監督で映画化する予定だったんだとか。

この「好色〜」は江戸時代を舞台に愛に生きる情熱的な女性5人の人生を描いたオムニバス作品なんですが、水野先生はナント!登場人物が複数のお話にまたがって登場する「人物再登場」の手法を取り入れようとしてたんです。

まあ、タランティーノならともかく、「シベ超」でその名を馳せた水野先生ですからこの企画をとりやめたのは英断と言えるんではないでしょうか?

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