おおマリアよ

「おおマリアよ、何ゆえ我を生み給いしか?何ゆえ我にこの苦痛を与え給いしか?」

え〜、上のセリフで何のお話の抜粋だかわかります?

答え

イージー★ライダー [DVD]

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この映画でピーター・フォンダ扮するイカついバイクに乗った主人公のキャプテン・アメリカことワイアットがハウス・オブ・ブルー・ライトというニューオリンズの娼館にたどり着いてクスリをやりながら女たちと戯れながら幻想におちいって吐くセリフなんですな。(完璧にうろ覚えです)

このシーンから最後の銃で撃たれるシーンへと物語は突っ走りますが、(バイク乗りは「一度は見ておこう」と一念発起してこの映画を観るんですが、大概のヤツはこのあたりにくるまでに寝るかDVDを停めるかしてしまうのでラストを知る人はあまりいません、ハァ・・・)

自分がマリアの息子であると錯覚してる、つまり自分をキリストと思ってるわけで、主人公ワイアットはアメリカン・ドリームを成し遂げた「キリストのような偉大な男」(話の都合上)ということになります。

で、ガソリンタンクに星条旗のペイントされたヤツのバイクというのがこの場合ですと、キリストの十字架ということになりますわな。(星条旗タンクの中に現金が入っているところが資本主義による腐敗の暗喩だね)

で、バイクに乗ったまま頭の悪そうなレッドネックに銃で撃たれて昇天するラストはもちろんキリストの受難をしめしてるんですわ。

麻薬を売って金持ちになり、とってもアメリカンな方法で立身出世した男は偉大になり過ぎてキリストに匹敵する至高の存在になり、そしてその結果、キリストに同じく(アメリカの)罪を背負って殉教する、という筋書きなんだね。


例の「ヴァージニア工科哀歌バレットボーイ」のお兄さんが「僕はキリストのように死ぬ」とかなんとか言ってたらしいので、この映画を思い出しました。

ちなみに冒頭のシェイクスピア悲劇のような仰々しいP・フォンダのセリフなんですが、TV放映の際の日本語吹替えは

山田康雄が担当しておりました。

あと、モンティ・バイソンが作ったキリストの映画も山田さん(磔にする側のローマの役人は納屋悟郎)でした。