聖人認定

悪魔憑きをテーマにした映画「エミリー・ローズ」でやんす。

このお話、悪魔にとりつかれたオネイサンがその苦痛に耐えながらも悪魔の存在を世間に知らしめるために悪魔を追い払うことを望まず死を選ぶ、ということなんです。

で、その意思を尊重してエミリーさんの死を(医学的な治療を施さず)看取った神父さんが殺人か自殺幇助かの容疑で裁判にかかるわけなんです。

コピーでは「裁判所が悪魔の存在を認めた事件」とか書かれてたと思うんですが、結局結論から言えば悪魔の存在の有無は法廷では一切争われておりませんでした。
(むしろ、裁判所は個人の選択の自由をどの範囲まで認め、それを世間が尊重すべきか?ということが問題だったような気がしますけど)

で、神父さんはエミリーの偉業を讃えて、彼女を聖人として認定してもらいたいなんて言い出す始末。

大体なぁ、世の中いろんな苦痛に耐えて生きてる人間なんて山ほどいるんだから、悪魔につかれて困ってる人なんか珍しくもないんだって。



例えば

横山やすし師匠とか

この人、テレビではあんなキャラだったんですが、家族の前では非常に温厚な人柄だったそうで、要はお客さんの前で「面白い人」になるために自分の中にある自己顕示欲だとか野獣の本能だとか酒だとかメガネだとかを増幅させて「横山やすし」という悪魔を生み出したんだね。

それが舞台やテレビに出まくるようになって段々心の中の「やすし」が大きくなってコントロール不能になっていって死に至るまで本人を苦しめ続けるわけなんですが・・・

彼はエンターテイナーとしての本分を全うするため、そして、「確かに人間には悪魔の部分が存在するが、それは不屈の精神力と人類の叡智と酒とメガネとセスナとボートによって打ち勝つことができるのである」ということを世間に知らしめるためにお客さんの前で内なる悪魔と戦い続けたのです。


それが証拠にやすし師匠のモノマネで有名な(西川きよしと「やす・きよ漫才」もやってます)太平サブローさんなどはヤッさんのモノマネをするようになってから実生活でも「ヤッさん」が抜けなくなり、頭の中に何かが住み着いているような感覚に悩まされたんだそうで、霊媒師さんに相談したら「ヤッさんの霊が憑いてます」と言われたそうです。
(要は全ての人間の心の中にはヤッさんの部分が存在するということですな)



以上の話から、キリスト教的にも聖人認定される資格があるのはエミリー・ローズより横山やすしの方であることがわかると思います。

ああ、素晴らしきヤッさん。ヤッさんの魂と共にあらんことを。


※というわけで「ヤッさん」ネタは今回でおしまいです。次回からは由利徹ネタが始まります。(ウソ)