セブーリの雨傘

瀬降り物語 [VHS]

瀬降り物語 [VHS]

みてもうた。中島貞夫の集大成ともいうべきこの映画。強烈でしたよ、ええ。

まず、解説しておかなければならないのはこの「せぶり」という言葉なんですが、これはフランスはノルマンディー地方にある港町「シェルブール」をブルターニュ地方の人(ブルトン人)が発音すると「せぶり」になるわけなんですね。(もちろんウソ)

「せぶり」というのは野山を移動しながら生活し(その時の簡易テントが『瀬降り』という)蓑細工を作って生計を立てて暮らす流浪の民のことでして戦前までは日本のどこそかしかにいたそうです。(「サンカ」は彼らの蔑称らしいです)

で、彼らの独特の生活を描きつつ、中島イズムの男と女の愛憎劇が展開されるのが本作なんですが・・

主演;萩原健一 音楽;井上尭幸 という何故か「太陽にほえろ」つながり(かつ沢田研二を入れると中島監督の山田風太郎つながりを入れると4人で数珠つなぎとなります)のスタッフ&キャストだったり、母、妻、女といういろんな場面でいろんな表情を見せてくれるヒロイン(?)の一人を欽ちゃんバラエティでお馴染みだった藤田弓子(この人はその後の金曜ロードショーでの映画「ミザリー」のキャシー・ベイツ演じるこわ〜いおばさんの吹替えが個人的には名吹替えのベスト10に入ってます)がやっていたり、と見所満載なんですな。

それにしても当時のショーケンはハンサムであり、藤田弓子さんもアニメ声がアレな感じはするものの、豊満な肉体と多彩な演技で観客を魅了してくれたりするんですが、藤田さんが娘から「おかか」と呼ばれていることなどからショーケン&弓子のカップルのHシーンなどは「自分の妻を『おっかぁ』と呼ぶ落合博満夫妻の夜の営みをレディースコミックが描いたらこうなる」みたいな連想をしてしまうんですよ。



オマケのお話なんですが、この映画で野山を転々としながら暮らす瀬降りの長を演じたショーケンですが、「徹子の部屋」に出たときに、

「お遍路さん巡りをした時に一回だけ野宿したんですけども、あんなことするもんじゃないですね。疲れが一日中残って体壊しますよ」

と語ってました。