反日ここに極まれり

というわけで再度「紀元前一万年」について書くわけなんですが、まず、この映画は敵役として子供が宇宙人とともに興味を持ちそうな「超古代文明」な人たちが出てくるんです。

海に沈んだ大陸から渡ってきた高度な文明を持った部族というのが石器時代から大して代わりばえしない現代人の祖先たちを奴隷にして一大帝国を築いてて、その隷従から脱却しないことには人類の未来はないから必死になって戦うわけなんすけど・・・

この超古代文明な人たちのボスってのが「THE ALMIGHTY(「知全能なるもの」ってな意味か?)」と呼ばれてまして(ここら辺は以前書いた「300」の「GOD」の表現より一枚上手をいってますな)要するに

現人神

として崇められてるんですよ。そして、知能指数ドテチン以下の主人公(ちなみに「青い目の少女」と結婚して現在の白人さんの祖先となる)から「人の姿をした神様なんぞいるわけねぇ」と言われて反旗をひるがえされるんです。


そして、主人公の父というのが実は「偉大なる狩人」と呼ばれる偉人でして、この人は貧しい村を救うために農耕技術の噂を聞きつけて、一人でその技術の習得のために命がけの旅に旅立って行ってしまうんですが・・・
 
本来だったらこういう人をコミュニティの仲間たちは「英雄」と讃え、万が一その人が志半ばで死んでしまったら「英霊」として祀りあげるかとおもうんです。しかし、この主人公の父は

「英雄として祀られたら、自分の後を追って村の有望な若者が次々と自分のように危険を侵して旅に出るに違いない。それを防ぐためにも自分を英雄として祀り上げたりしないでほしい」

と英雄として名を残すことを拒みます。当然メモリアルなイベントやら碑を建てるなんてのは以ての外ですわな。



とこうしてみるとどう考えてもこの映画

(日本人には)反日思想のプロパガンダ映画としかとれないんですよ。

ちょうどこの映画の上映と同時期に映画「靖国」が上映禁止の嫌がらせを受けて問題になってたんですが、「靖国」の方は見てないのでなんとも言えないんですが、少なくともこの映画に関していえば一部の人が日本人の心の故郷としてる「靖国神社」とその思想を紀元前1万年前の野蛮人に「ナンセンス」と言わせて批判してる(偶然ではなく、確信犯の疑いもある)点で本来だったら「靖国」を上映禁止にするくらいだったらこっちを上映禁止にすべきだったんですね。


全国各地の映画館やシネコンで一般公開(残酷なシーンを一切排除してあるのでお子様も観ることができるのだ、おまけに多くの劇場では吹替版も用意されていた)されまくってしまった本作。結果として「反日映画の上映断固阻止!」を掲げて映画「靖国」に噛みついた連中を嘲り笑い「映画の受けたカリは映画で返す」というオトシマエをつけるのに役立ってしまったというおもしろい現象を作っちゃいました。

ローランド・エメリッヒというと90年代に一世を風靡して以降は、そろそろみんなから飽きられつつあった監督さんなんですが、まさかこんな形で脳裏にその名を焼き付けてくれるとは・・・・これだから映画はおもしろい!!