最後の船上

観てきました。「ランボー 最後の戦場」

実は劇場でランボー観るのはこれが初めてなんす。どうもランボーって、何がおもしろいか分からない部分があったんで。(でも「3」のテレホンカードは伊藤ハムの懸賞で当てたんでずっと持ってますよ、伊藤ハムはスタローンをその後浮き沈みのある時期もずっとCMに起用してて、僕的には企業イメージかなりよかったりします)

で、ランボーさんなんすけど、まぁ相変わらずジェリー・ゴールドスミス的な音楽が全編鳴り響いてて「2」のあたりですでに「音楽流しすぎ」と言われてたのに全く懲りてません。

映像も基本的にはスタローンが監督したんですけど、会話のシーンは80年代から全く撮影方法が変わってないようでして、正直ここら辺は家でビデオ観てるような感覚になってしまって「ツライかも」とか思ってしまいます。(最初の日本版のタイトルも80年代の東宝東和ビデオっぽいんすよ、確信犯的に)


しかし、


今回のランボーは様々な新機軸をこれでもか!と押し出した意欲作でして、ステディカムを多用した最新の撮影技術による迫力満点の戦闘シーンやら戦場の血なまぐささをリアルに伝えるための屠殺場を思わせるえげつない暴力描写が目白押し(伊藤ハムからはもう出演オファーは来ないでしょう)、実は反対にいかにも最新鋭な武器はちょっとだけしか出てこなくて銃器マニア御用達の部分は控えめになってるんですけどね。

さらに今回はランボー地獄の戦場に引きずり込むファクターとして海外ボランティアをやってる団体が出てきます。
いくらなんでもランボーという映画には不釣り合いな(実際その点は劇中しつこく言及される)なんすけど彼らとの出会いがランボーの心に異変をもたらしたりするから興味深いし(ただ、軍事政権に苦しめられる少数民族の状況には何ら変化をもたらせないのが厳しいところだ)し、ランボーの仲間として5人の傭兵が登場してきて、彼ら傭兵とベトナム・ベテランのランボーとの立場や考え方の対比なんかが結構面白い。今までは孤独で寡黙な男だったランボーが急に説教くさくなったりと、うまく消化できなかったランボーの心の闇が今回はストーリーや他のキャラにキッチリと絡むんで、大味感がないんですよ、個人的に。説教くささも味になってる。


で、今回はスタローンが反ミャンマー軍事政権の組織に大いに共感し、当の反政府組織にエキストラとしての出演を要請してて、血も涙もない(というか脳みそがキンOマより小さいんじゃないかと思うくらいバカに見える)政府軍の軍人たちは実は反政府側の兵隊さんたちだったんですね。

何しろ「北斗の拳」の悪役を地でいくような連中なんで、「こいつら普段どんな生活してるんだ?」と思ってしまうんですが、そういうところもキッチリ観せてくれる(予想通り見たことを後悔したくなるような代物ですが)んですよ。それもエキストラの皆さん迫真の名演技で「な〜んも考えてまへん、酒呑める、女手に入る、博打できる、軍隊最高!」という、何のためらいもなく無抵抗の人間(子供含む)を射殺できる兵士の目つきを見事に再現してくれてるんですよ。


さて、この映画で一番作り物くさい、というかご都合主義的な部分というのが「音響」でして、村が襲われるときの爆発音や村人が殺される時の銃声は「もう、かんべんしてよ」と思うほど不快な音で表現されてるんですわ。

で、ランボーが敵をぶち殺してるシーンの銃声というのが非常に軽快で心地よい音で表現されてて不快感がない。


実はこういう細かい配慮が行き届いた映画だったりするんですよね。