チョーエツ!!

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60年代に流行った小説「かもめのジョナサン」ではですね、「究極のスピード」を手に入れるべく男塾みたいな縦社会のスピード狂のかもめの集団に入門するわけです。
んで、その中の長老の中国人のかもめがジョナサンにこういうんです。


「究極のスピードとは行きたい場所に瞬時に移動することだ」

このジジイが何を言ってるかというと「空間的な概念を超越せよ」と言ってるんですな。あらゆる空間的制約にしばられず行きたいところに(それも瞬時に)行ける自由。

さて、そもそもジョナサンが究極のスピードを手に入れるべく行っていた修行というのがどんなのかというと「できるだけ高い地点から重力に引き寄せらるままに自由落下すること」だったんですね。おそらく乗り物を駆使せずして生身の生物が最も早く移動できる手段がそれであろうと。

んで、こんなこと書くと

「スピードを追い求めたアイツは毎晩のようにZ2で峠を攻めつづけた。そんなある日ヤツのZ2はガードレールを突き破って遂にやつは究極のスピード、自由落下を手に入れたのさ」

なんてな皮肉っぽい話に聞こえるんですがそれがこの小説が発表された数十年後の2008年に大マジであることが証明されたんですよ。



ね、高いところから自由落下してるでしょう?素敵な乗り物に囲まれて、悪い人が国外逃亡してもそれがどこであれノリエガ将軍よろしく拉致っちゃうし。
つまりこういう演出ってのがバットマンが「空間的概念を超越した男」であることを証明してるんですよ。

そして、物語の後半で「その代わり愛する人のもとには永遠に辿り着けなくなってしまったのでした」という皮肉への壮大な(どんでん返しの)伏線にもなってるんですがね。

で、なんで僕がそういう伏線にこだわるかというとこの映画を知ってるからなんですよね。


マッドマックスでやってた伏線と一緒でしょ?最速の男として暴走族を震え上がらせたマックス、でも愛する妻子の救出に間に合わなかったマックス、あれですよ。手垢がついたような(そしていかにもワーナーブラザース的な)演出なもんだから「ダークナイト」見てた間中ずっと「やるぞ、やるぞ」と思ってたんですわ(笑

乗り物の役割というとずばり



人間を生身では到達できない場所へ運ぶ


そのため生身ではとうてい手に入れられないスピードを人間に付与する



の2点につきると思うんですが、どうやら観念的な意味でも乗り物は人間を生身では到達できない境地へと到達させるっぽいです。



というわけでみなさん映画の中に乗り物が登場した時にはちょっとだけ今まで以上に注目してあげてくださいね。