アウトローの墓場

え〜、そういうわけで「明日に向かって撃て」と「ワイルドバンチ」です。

この映画は実は同じ人物がモデルになって作られたお話なんですね。
(もちろん「明日に〜」の方が史実に忠実)

ブッチ・キャシディーとサンダンス・キッドという二人のアウトローが「ホール・イン・ザ・ウオール・ギャング」という強盗団を組織してそれが「ワイルドバンチ」に発展していくんですが、結局彼らの活躍した1910年代というのがもうそういったアウトローの時代ではなかったので行き場を失くし南米ボリビアに下り一旗上げるつもりがうまくいかずにあえなく討ち死にしてしまうわけです。

んで、「ワイルド〜」がメキシコ革命が舞台になっている件につきましては

どうやらこの当時の西部のアウトローたちは時代の流れに勝てず行き場を失い、あるいは逆らって逆らって逆らい続けた「権力、金、連邦政府」といったものがあまりにも強大になりすぎて失望し、せめて死に場所くらいは好きなところを選びたいと思って故郷を離れて向かった先が革命の炎が舞い上がるメキシコであり、有名無名を問わずアウトローたちはこの戦闘に自ら進んで参加して貧しきものたちのために戦うことをよしとした、という史実があるようです。ここらへんの事情を踏まえて製作されたのが「荒野の七人」だったりします。

西部劇とかウェスタンの世界観を「ああやだやだ、何でこんなにアメリカのお話ってこんなに下品マッチョなのかしら」みたいな感じでしか見れない手合には意外ともとれるフィナーレを南北戦争終結直後のジェシー・ジェームズやビリー・ザ・キッドらにより幕を開けてメキシコ革命あたりで終結するアメリカの「アウトロームーブメント」はたどるのです。それはもうギリシャ独立戦争に参加した(しようとした)イギリスの詩人バイロンのように。

そして、60年代後半にアウトローをテーマにした映画が立て続けに二本もできるという事実からもこのアウトローへの憧れと畏敬の念というのがまだアメリカ人にもあったと思います。そもそもアウトローという概念自体が他にないです。



んで舞台が南米に移ったところで次にいきます。