(意味なく)再録「泣ける!!!!」

以下は8月下旬にうpした記事の再録です。というのもこの記事の一週間後くらいからなんか別ブログの方にも変なアクセスがあったりして気になってたんです。今現在だったらどんな反応になるのかきになったもので。なお、この記事書いてる時は「映画観つづけて本当によかった。ブログ書いてて本当によかった」とかなり気分が高揚してたのを覚えてます。

本当に遅ればせながら観ましたよ「ハロウィン(ロブゾンビ版)」

最初に申しておきましょう。大傑作です。


何が大傑作かというとまず、殺人鬼マイケル・マイヤーズがいかにして殺人鬼になっていったのか、その過程をかなり時間を割いて追っていってます。その間ストーリーはマイケル主観で進みますので嫌がおうでも観客はマイケルに感情移入することになります。

つまり前半では観客はマイケルの心の闇とそれを背負ったマイケルの苦悩を体験させられるわけなんですね。

そんな前半からうって変わって(主人公もマイケルの妹のローリーに変わる)主観は「やられる側」にシフトします。

残された唯一の家族である妹のローリーを求めて殺して殺してまた殺すマイケル。普通だったらただ怖いだけの存在であるはずの殺人鬼のマイケルですが前半でマイケルに感情移入してしまった観客は恐怖シーンも複雑な心境で観ることになります。マイケルが人を殺すのを観るのが


ただただ悲しいのです。


「お願いだからやめてくれ、殺せば殺すほどおまえは苦しむんだぞ!!」と思えてくるからたまらない、白状すると僕はこの映画観て泣きました。泣くどころか鼻水まで出してしまった。

以前この映画について森進一の「おふくろさん」騒動に絡めてパロディネタをやったことがあるんですが、本当にこの映画におけるマイケルのモチベーションってのが「母の愛(というか母性)を渇望する孤独な男の苦悩」なわけですよ。
「おかあさん」「家族(愛)」「お家」といった母性を感じさせるアイコンに一々反応する(そして殺す)マイケルに胸が痛むんですよね。

そしてそんなマイケルを苦悩から救おうとしていたドクター・ルーミス(マルコム・マクダウエル)がラスト近くで言う台詞

「私が悪かったのだ、17年間かけて結局お前を救えなかった」

これがまた「グリコ森永事件」で犯人(怪人21面相)に自分の財産をやるから犯行をやめるよう申し出た川内康範を思い出さずにいられなかった。
川内さんは「月光仮面」でテレビを通じて人々に正義を訴えた。でもその正義で救えなかった人たちが怪人21面相なわけで(ということはある程度川内氏はこの事件の真相をつかんでいたということか?)彼らの犯行に胸が痛んで上のような申し出をしたのでしょう。世に正義を望む志の人間なら悪を目の当たりにしてこのように感じるのが当然であると思います。


加害者=悪いヤツ、言い訳の余地なし、この世から抹殺すべし

というようなアホすぎる理屈をまかり通そうとして裁判員制度とかいう素人参加型裁判が導入されてしまった現在の日本においてこの映画

全国民が必ず観るべき映画です

この映画がアメリカで大ヒットしたという事実はアメリカ人の多くは誰かが言うように「アホでマヌケすぎる貧乏人」ではなく誠実で知性と教養ある人たちであるという証左だと思います。


映画としての完成度で評価するとそれほどでもないかもしれないけれど、新基軸を打ち出したりとか普段はなかなか言い出しにくいテーマを突きつけて観客に考えさせる姿勢とかの社会的な面を鑑みるとこの映画の評価は☆5つ満点中 夜空に浮かんだ星の数だけ 差し上げたい気分にさせてくれる。まだまだ書きたりないので次回に続きます。

ロブ監督、続編も期待してまっせ。