ゼア・ウィル・ビー・007
いや〜、「ゼアウィルビーブラッド」なんですけどね。
なんと言っても主演のダニエル・デイ=ルイスがショーン・コネリーに見えてしょうがないんですね〜。
「ギャング・オブ・ニューヨーク」ではトルストイによく似た人を演じてたんですが今回はショーン・コネリー(初代)とティモシー・ダルトン(4代目)をハイブリッドしたような石油王の役で強突く張りの成金さんを演じてるんです。
子供を連れて子連れ狼のように荒野をさすらい石油を掘り当てて一攫千金、といきたいところですがしがらみがあれやこれやでいろんな社会悪とつながったりもしながら子供のために必死こいて働くんですね。
そんで大富豪になったと思ったら肝心の息子は稼業を継いで二代目になるのを断るんですね。「もうあんたにはついていけない、結婚を機に独立しようと思う」と私が去年の年末に書いた「無法松のバニシングポイント」の親不孝息子(名前はアレクサンドロフだったっけ?)みたいな口上を吐き捨てて出て行きます。
そんな態度に激昂したダニエル(役名も一緒)はこう言います。
「おまえなんかただのジョージ・レゼンビー捨子なんだよ!!もともと俺の子ぢゃねぇ!!!」
いや、本当にこの成長した息子(要は二代目)と決別の展開は結婚しょうとして不幸になる「女王陛下の007」に出演してそれ以後ボンド役を降ろされたジョージ・レゼンビー(二代目)へのオマージュにしか見えんかったですよ。オヤジはショーン・コネリーそっくりだし。絶対意識してるよなぁ(笑
まぁ、そんなこんなで子供が自立したわけだからよしとしても、後に残るのは無駄にたくさんある財産とそれにハエのようにたかる社会悪・・・・さぁ、どうするか。というのが結末なんですがその社会悪。いわゆる振興宗教なんすね。
アメリカの歴史をご存知の方だったらこの映画の最後の方の1920年代というのがKKKが大躍進した時代だということもご存知だと思うんです。
KKKだけでも政党化して政界に入ろうとしたときには共和党も民主党も大騒ぎするくらいなのにまた地方からわけわからんのがひょこひょこ出てこられたらかなわんですわな。
んで、この振興宗教の名前というのが
第三 の啓示教会(the third revelation church とか劇中では言ってたな)
ギャハハハ、日本人から見たらどうしても「あの人たち」しか思い浮かばないっすね。P・T・アンダーソンさんひょっとして日本のこと調べて脚本書いたのかな?
非常に緻密な構成で大作の名に相応しいスキのない作品ながらこういう遊び心もあって「おも〜いドラマ」という感じがなくさらっと見れるんですね。
海外でも崔洋一の「血と骨」と比較される本作。重たいだけでないメリハリの効いた演出はさすがでした。
僕が90年代に評価してた映画監督で今一線で活躍してるのはコーエン兄弟とタランティーノとこの映画作ったアンダーソンさんくらい。
ジャン・ピエール・ジュネやエミール・クストリッツァなんかもこんな風に復活して活躍してくれるとうれしいなぁ。