ホンマモンです。

え〜、奇しくも僕と同じ名前(笑 のファブリス・デュ・ヴェルツ監督の大出世作「変態村」

この映画が話題になったのが2005年くらいで、その後アメリカで「ホステル」が作られて話題になって「SAW」がシリーズ化して満員御礼、とうとうこの手の拷問映画の本場ドイツから「ファニーゲーム」のアメリカ版リメイクを同作品の監督が作るまでに至り’00年代は一大「拷問映画ムーヴメント」が巻き起こるわけでして、いかにこの映画が世界中に凄まじい影響力を及ぼしたかわかりそうなものでございます。今年にいたってはタランティーノが「イングロ〜」でハンス・ランダ大佐なる「言葉で拷問する男」を登場させてカンヌで賞をもらっておりますな。

そんな素晴らしい「変態村」ですがはてな界隈で映画を語るお歴々は何故かスルー・・・というかお前ら辛口なこと言ってるわりにハリウッド映画くらいしか見たことないんだろ、バーカバーカヴァーカ!

・・・と言いたいところですが確かにこの映画、ビデオ屋に一時はよく見かけたけども最近では何か理由があるのかどこのお店も置かなくなってるんですね。流行ってた当時に見た人以外は見れない状況なんですよ。困ったもんですなぁ。*1

さて、この映画の魅力なんですが何といっても撮ってる監督が

ホンマモンです。

ここら辺が「SAW」とか「ホステル」とかと根本的に違うんですね。絶対に越えられない壁がある。わざわざ越えようとする人間はいないと思うけど。

なんだ、この展開?なんだ、このダンス?みたいなシュールな見どころが目白押しで見たら誰もが納得すると思うんですが、そもそもキレイな小川が流れる森の中にある小さな旅館というシチュエーションながら鉄砲水のようにやけくそに速い小川の流れ(どうやって水汲むんだろう?と思ってしまう)とか絶対雪が30センチ積もったら崩れ落ちるだろうボロすぎる家畜小屋とかどうしても映画監督がこだわって結果それに束縛されてしまう「リアリティ」に全く縛られてない、ホンマモンの「シュール」がそこにある。

こういう「感性」に訴える部分のみならず「誰からも愛される宿命」の主人公と「誰かを愛したい」キチ○イたち。受け入れべからざる状況に追い込まれてそれを拒めずに泣く主人公の曇った目、どんな状況でも勝手に理想を追い求め、それを勝手に見出して喜ぶキ○ガイたちの狂気の目、という日常生活では誰しも決して意識しないであろうテーマを掘り下げてヒューマニズムとして見せつける(そして観客に「ホラ、お前らこの○チガイどもに共感しろ」と訴える)ホンマモンならではの論理展開がそこにある。


面白い映画ということになると正直さほど評価できない(そもそもそういうジャンルだし)映画なんだけど’00年代映画史の中でもっとも重要なパズルの1ピースがこの「変態村」だと思います。ビデオ屋3軒くらい探してでも見てください。*2ホンマモンの作る映画は一味も二味も違いますよ。

*1:根気よく探せばすぐに見つかると思うけど

*2:店員に「変態村ありますか?と尋ねるのは相当恥ずかしいもんがあるけども