台湾ヤマハ&わかばマン 「な、言うたやろ?」

え〜、上のオリジナルの「ハーリー&マルボロ」の方でドン・ジョンソン扮するマルボロマンが登場するシーン、インディアンのヤクザ(どっかで「ハリウッドの差別的表現」と揶揄されてたけど単に「田舎のヤクザ」というだけの表現です)と女を賭けてビリヤード勝負するシーンはポール・ニューマンの「ハスラー」のオマージュなんですな。これもポール・ニューマンはガチのシオニストなのでコカコーラ社つながりだったりします。(あと「明日に向かって撃て」と)あまりにも華麗に勝っちゃって「最初から実力差のある勝負に引き込んだ」のがバレて乱闘になるとこまで一緒です。私も昔似たようなことやらかして、会社ん中であまりにもロケンロールなことやってもうたんで大騒ぎになって後になって管理部の方からネチネチと嫌がらせ受けましたね。インディアンのヤクザだったら無問題だったんでしょうけどね。つくづく現実ってのはスカッとしないもんですな。

このお話はフィクションであり実在する個人・団体・事件等とは一切関係ございませんし、差別的表現もあえて挿入してますが当方の発言としては一切責任を負いかねますことをご了承ください。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高橋の仕事を引き受けた台湾とわかばは次の日の夕方、高橋に案内されて街外れのダンプ屋の一台の何も積んでないダンプでカーナビで指定された場所に行くよう指示された。(もちろん台湾もわかばも免許は無い)そのダンプが出発するのを見送って高橋は不気味にうすら笑いを浮かべ「グッドラック」とつぶやいた。その言葉の意味するところは不明。

ナビに従って2人は南下して人気の無い山の中の大きな配送センターにたどり着いた。ダンプを建物の中に入れ、建物から締め出しをくらった。積み込む荷物を見てはいけないとのことだった。積み込みが終わってダンプが出てきたら今度は港町に戻るだけで作業は終了ということだった。

行きは台湾が運転したが険しい山道での台湾のあまりにも無謀な運転に辟易して帰りの道はわかばが運転することにした。日も暮れて雨も降ってきたのでリスクが大きすぎるとの判断だ。台湾は昨日高橋にもらった5千円(気前よく2人分で1万円くれた)で買った発泡酒うまい棒ですっかりいい気分になって帰りの道中に運転中のわかばに絡みだす。

「大体お前はいっつも考えが甘いんじゃあ、アホウ」

と切り出して居酒屋で部下に説教し出す酔っ払い課長よろしくわかばに絡む台湾。立場が悪いので苦々しい顔つきで運転しながら黙って聞いてるわかばにさらに続けて。

台湾「大体、お前ら(在日韓国・朝鮮人)はいっつも読み書きソロバン覚えてお行儀ようしてホワイトカラーになったら今まで見下してたやつら(日本人)を見返せると勘違いしとるんや。確かにキチンとした労働組合があるような大手の一流企業でホワイトカラーやったらその通りや。民団やら総連やらがキッチリ守ってくれるかも知れんけどな。お前みたいにホワイトカラーでもサラ金に就職してヤクザに成り下がるようなアホなんかどこもかばってくれへんのやぞ。わかっとんのか?」

わかば「だから俺が就職したんは信販会社でサラ金と違う言うてるやないか」

台湾「貧乏人からケツの毛ェまで抜くんはどっこも一緒やろうが?ノルマ月何本やったんや?言うてみぃ!」

わかば「せやから俺はそういうこと(ホワイトカラー云々)考えたこと無い、言うてるやろ?」

台湾「それがイカン言うてるんやろうが、成功して見返したろ思たらやな、仕事選んどったらアカンやろうが。楽しよう楽しよう思てホワイトカラーやってるから落ちぶれるんや。お前らみたいなん(ホワイトカラー)は土方のおっちゃんら見て影で「西成、西成」言うて小馬鹿にして『あー、自分は今の仕事で良かった♪』言うて今の現実に甘んじとるんを納得しよるんや。関西の経済の足引っ張っとるんわお前みたいなやつや。ほんでその成れの果てがお前朝鮮ヤクザの演歌歌手って、どないやねん?っちゅう話やぞこれ」

わかば「さっきから人のことを朝鮮ヤクザ、朝鮮ヤクザて、偏見持ちすぎやぞ」

台湾「お・前・が・一・人・で・張・り・切・っ・て・世・間・に・偏・見・植・え・付・け・倒・し・と・る・ん・や・な・い・か・ア・ホ・ウ」(と言いながら「・」の数だけわかばの頭を叩く)「18でサラ金やって23でヤクザで、これで25で生保受けたらどこに行っても世間から白い目で見られる『極悪朝鮮人三冠王』やないか。終戦直後の闇市の時代の人間か?お前は」

わかば「この4ヶ月、山陰でヤクザの三下やらされたりわけのわからん歌押し付けられてショーやらされたり地獄やったけどお前の話聞かんですんだのだけが救いやったわ」


と、その時台湾の携帯がピーと音がした。コンビニで買った充電器での充電が終わったのだ。

台湾「ところでお前みすずちゃんには連絡してるんか?」

わかば「してない」

台湾「ちゃんとせんか、アホウ」(と、わかばの頭を叩く)「ほしたら今からみすずちゃんに連絡してええか?」

わかば「(しぶしぶそうに)ええよ」

というわけでみすずちゃん家に連絡した台湾。出たのは木下のおやっさんであった。

台湾「あ、おやっさん。お久しぶりです。台湾です。どないでっか?調子は?腱鞘炎で右肘が痛い?いやぁ、儲かってますなぁ。こっち?今はどこもあきませんわ、あ、すいません、みすずちゃんいてます?あ、じゃ替わってもらえます?」

しばらくしてみすずちゃんが電話に出た

台湾「あ、みすずちゃん、久しぶりやなぁ、元気しとった?今何やってんの?ほー!ヤクルトレディかいな。昔からヤクルト好きやったもんなぁ。俺んちも配達してもらわなあかんなぁ。え?用?それやねん!見つかったんや!わかばが!え?替わって欲しい?」

わかばは苦い顔をして横に手を振って「運転中やから無理」と答えた。

台湾「わはは、こいつ久しぶりやから照れとるわ。え?今どこ?え〜〜と、そうや、俺ら今、平壌市内におるんや。何しにって、決まっとるやんジョンウンとりに来たんやないか。成功したら俺ら東アジア解放の英雄やど。ニュース見とってや、わはは。え?お土産はちんすこうがええ?ちんすこうは南国沖縄のお土産やないか。ここは北国北朝鮮やで。何?北朝鮮やったらキレイなおねーちゃんいっぱいおるやろ?って。まぁ、おるよ、いっぱい。え、え〜〜?ははは」

と、台湾はにやついた顔でわかばの方を向いて

台湾「おい、わかば、みすずちゃんが(今いるはずの)北朝鮮はキレイなおねーちゃんいっぱいおるからお前が浮気せぇへんか心配なんやて、わはははははは」と言ってわかばの頭を盛大に叩き出す。渋い顔でそれを受けながら運転するわかば

台湾「わはは、心配せんでええでみすずちゃん。北朝鮮の女なんか胸ぺったんこやし乳首はドス黒いし腋毛ボーボーやし北国やからあんまり風呂入らへんやろ?やから下着取ったらあそこの匂いが部屋中に充満してまうんや(注:確認したことありません)大丈夫大丈夫、みすずちゃんには敵わへんって。じゃがいもの料理しか作りよらへんし(注:これは中国の朝鮮族の話です)え?何?それ全部ワタシと一緒?何で知ってんのって?わははは、わかばぁ、ごめん、お前から聞いたこと全部ばらしてもうたわ。ちゃんと風呂入り〜や、みすずちゃん。わはははは」

と、苦々しい顔つきで山道を運転するわかばをよそにテンションマックスの台湾であったが電話の向こうのみすずちゃんはいたって冷静に最後にこう言った。

台湾「え?やっぱりわかばの声が聞きたい?わかったわかった。ホレ、わかば、みすずちゃんが愛しいお前の声がどうしても聞きたいんやて」と嫌がるわかばに無理やり携帯を持っていく台湾。

わかば「俺今運転中やから、危ないからあとにしてくれや」

台湾「ええやないかちょっとくらい。何照れとんねんお前は?ええから!早う!!」

と言って台湾は無理やり携帯をわかばの耳に押し付けようとして身を乗り出して押し返された拍子にハンドルを左手で握ってしまい思いっきり変な方向に切ってしまった。

おかげでダンプはガードレールを破ってそのまま谷底に落ちてしまい車体は3回くらい横転。車体の左側を上にして谷底に横たわるダンプから台湾はどうにか這い出てきた。そして車に残っているはずのわかばに向かって

台湾「お〜〜い、わかばぁ〜〜、大丈夫か〜〜〜!?」

と叫ぶと髪の毛を振り乱してボロボロになったわかばが左側のドアのガラスの破れた窓から顔だけ出して台湾の方をこの世のものとは思えないような怒りの表情でにらみつけた。

怒りにうちふるえながらにらみ続けるわかばとうろたえた表情で顔を合わす台湾。雨が降る夜の暗い山道の谷底で重たい空気が約10秒たちこめてから台湾は重い口を開いた。

「な、言うたやろ?運転中の携帯は危ないで、って」


つづく