台湾ヤマハ&わかばマン 「西成で会おう」


え〜、わかばエイドリアン・ブロディそっくりの容姿にしたのはこの映画「プレデターズ」に出演し「モデル出身、アカデミー賞受賞経験有り」という輝かしい経歴をかなぐり捨ててゲテモノアクションに参戦してくださった同氏の心意気に感謝しての配慮ですが本人にしたらありがた迷惑でしょうな(笑

このお話はフィクションであり、登場する個人団体事件等は全て実在のそれとは関係ございませんのです。

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「大体、お前はいっつもやることがガサいんじゃあ!!アホウ!!!!」

と、谷間に落ちたダンプの運転席から救出されたわかばは台湾に怒鳴った。

台湾「すまん、すまん、でも無事やったから良かったやないか、な」(と、さっきまでの強気はどこへやら、すっかり酔いが覚めて弱気になっている)

わかば「俺が後先考えて行動してるのにいっつもいっつも横からしゃしゃり出て台無しにしやがって!!!ボケェ!!!!」

台湾「そんなん言うても、俺はただお前のことを心配してるみすずちゃんを安心させようと・・・」

わかば「今のんでみすずは何事や!?思て今まで以上に心配しとるわ!アホウ!!北朝鮮で拉致された思て俺らを救出にでも向かったらどないするつもりや?あいつは冗談通じへんねんぞ!!」

台湾「そないやいやい言いなや、やっぱり電話やと通じにくい面があったんや。これから大阪帰ってみすずちゃんとしっぽりコミュニケーションとったらええ話やん」

わかば「この状態でお前は一体何を言うとるんや?引き受けた仕事はほっぽらかしてダンプ1台潰しといて連中(石切連合)がただで済ますと思うとるんか?ボケェ!」(と言って台湾の頭を叩く)

台湾「引き受けた言うても法律上の契約も何も無い仕事やんか?途中で仕事ほっぽらかしたから言うて訴えられるわけも無いしやな。適当でええねん、適当で」

わかば「お前みたいなんは一生西成で日雇い人夫やっとたらええんじゃ!やることはガサい(ガサツ)わ、後先考えんわ、途中でほっぽらかしても平気やわ、そんなんで世の中渡って行けると思うなよ!」

台湾「お前なぁ、西成、西成て、西成住んでる人が聞いたら気ィ悪うするぞ、そういう職業差別的発言は・・・・」

わかば「お前、さっきから人のこと『朝鮮ヤクザ、朝鮮ヤクザ』て何回言うたんじゃ!!アホウ!!第一、こんな山ン中で人夫だしのオッサンが聞いとるかぁ!!」

台湾「そうや、それや!!今んとこ誰も事故は見てないし、あいつら(石切連合)の仕事なんか違法に決まっとる。逆に脅しかけられる立場やないか。この事故は無かったことにしょう。ほんで俺らは姿くらましたらええんや。心配すな、お前の契約書は俺が事務所忍び込んで盗んで捨ててきたるから。そうと決まれば積み荷がどんだけヤウ゛ァい物か確認しょう」


そう言うと台湾はダンプのフロントガラスを叩き割ってダッシュボードから懐中電灯を取り出しダンプの後部から積み荷を確認しに行った。積み荷は後ろ扉が開いて外に転がっていた。中身は多数のドラム缶である。上ぶたが取られ、中身が見える。その中には固まったセメントがドラム缶いっぱいに満たされていた。台湾が「もしや?」思ったその時わかばが悲鳴を上げた。

わかば「た、台湾、これ、これ〜〜〜!!」

わかばが指差す近くに行って懐中電灯を照らすと、ドラム缶の中のセメントが先ほど転がった衝撃で割れ中から人間の手が出てきている。

台湾「なるほどヤウ゛ァい物って死体やったんか・・・・。これであのゴキブリどもの尻尾つかんだぞ〜〜。よっしゃ、すぐに警察に通報や」

わかば「あ、あほ〜〜!!俺らはあいつらの仕事引き受けたんやぞ!!死体遺棄幇助で俺らもパクられるわ!!ここは誰にも見られんように立ち去って今夜のことは無かったことにして黙ってるしかないやないか!!これがバレたら俺らパクられて長いことムショ暮らしさせられた挙句娑婆に出てきても一生西成で日雇い人夫やぞ!!わかっとるんか!?」

わかばが熱弁をふるってる時に谷間の上の方から人の声がした。そして2人を呼びつけながら谷間に降りてくる。暗闇ではっきりとはわからないがその様子を見たわかばは震え上がってこう言った。

「も、もうアカン、西成で会おう」

つづく