台湾ヤマハ&わかばマン 「Appelez-moi Deux」


え〜、南部訛りが特徴の俳優ジェフ・ブリッジスさんなんです。私のお話「勝田ズ・ウェイ」と「台湾ヤマハわかばマン」は元ネタの「カッターズ・ウェイ」と「ハーレー&マルボロ」のプロットに共通点があり配給会社にスポンサーが一緒。ひょっとしたらですが「カッターズ・ウェイ」の原作者のニュートン・ソーンバーグさんが変名で「ハーレー〜」の脚本の段階でタッチしてる可能性があります。んで、「カッターズウェイ」の主演のジェフ・ブリッジスさんなんですが、

この映画では「突っ張って世間に喧嘩売るような態度で生きる才覚ある若者(モデルは実在のレーサーのエルロイ・ジュニア・ジョンソン)」が立身出世するお話なんですが、出世のきっかけというのが上記2作品と同じくコカコーラ社がスポンサーについてレースの資金が手に入ったから・・・というなんとも情けないものなんですね。弘兼憲史の漫画とか笑えないくらいお話としたらかっこ悪いんですよ。金と権力のケツ舐めてどうすんの?っていうね。(映画は最終的にそういうのからケツ割ります)その後の「カッターズ・ウェイ」とか「トロン」とか(あ、「キング・コング」もか)でアメリカン・コミュニズム全開(父親が共産党員だった)で「力が無くても徹頭徹尾弱きを助け強きをくじく」側にまわる「誇り高き負け犬」の美学を見せてくれて私のような隠れファンを安心させてくれた同氏なんですが最新作の「クレイジー・ハート」がまたしても「世間に喧嘩売るの辞めて酒やめて更正したら仕事も女も戻ってきた」というヌルこい(終生のスポンサーであるところの)コカコーラ社のプロパガンダ的なお話になってたんでガックリきてしまいました。私はお酒は呑まない人間ですが、サントリーウイスキーラッパ飲みしたくなりましたね(笑

なお、わかばが「カントリー・スタイルの演歌歌手」という設定にしてるのはこのジェフ・ブリッジスさんへのオマージュでございます。

それではお話をはじめます。このお話はフィクションであり、実在する個人・団体・事件等とは一切関わりございませんのである。

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わかばがビビって一人でテンションマックスになってる間に、小さな影は道路からもの凄いスピードで崖を駆け下り台湾たちのいる谷間にたどり着いた。台湾が懐中電灯で照らすしてみたところけったいな服装の女であった。

そのけったいな服装というのがこんな感じ。タイトジーンズに黒のゴツいモトクロブーツ(サッカーシューズでお馴染みのプーマ製)淡いコバルトブルーのワンピの上にフランス軍のF2ジャケットに濃いブルーのキャスケット帽でその下は黒髪のストレートロングで髪の間から両耳がのぞいている。そして手にはFOXのグラブ。もちろん雨の中なのでジャケットはビシャビシャになっている。

その女が台湾たちに近づいてきてこう言った。

「このダンプの運転手はあんたら?」

この女見たところ背が低く160cmは無いと思われる上に下顎が小さくおでこが広い上に目玉がギョロッとしているので一見小学生に見えなくも無いのだが声は間違いなくアラフォー以上の大人の声であった。

台湾「見ての通りそうやけど?」

女「積荷は何か知ってるん?」

わかば「そ、それが俺ら何も聞かされて無いねん、ただ雇われただけやから」

女(暗くてわからないはずのドラム缶の方を見て)「そうか、あんたら悪いこと言わんからこのダンプはここに置いてっさとお逃げ。そんで今夜のことは忘れよし。間違っても雇い主に連絡なんかしたらあかんで」

台湾「なんか、そんな雰囲気やな、ご忠告にしたがうわ。ところであんた何者や?」

女「通りすがり・・・やったらアカンかなぁ?」

台湾「(ちょっと考えて)そういうことにしとこか。(グラブとブーツを見て)足はバイクか?」

女「そうやけど。(素性を知られまいと思ったのか、台湾のバイクジャケットを見て話を逸らす)あんたもバイク乗ってるの?イタリア製のええジャケット着て」

台湾「ただのスクーターや、あんたもF2(エフツー)をアウターに持ってくるところにセンスありやね」(と、こっちも積荷を見たことから話を逸らしたいので話を合わす)

女「(自分のジャケットを見て)このジャケットはフランス製やから『エフドゥ』って呼んでや」といかにもフランス語らしい発音で呼んでからにっこり笑う)

台湾・わかば(「エフドゥ」の発音に唖然としてお互い目を見合わす)「そ、それじゃ気を付けて」

と、とりあえず謎の女を追い払いたい一念から愛想よく手を振った二人をよそに女はさきほど降りてきた崖を恐ろしいスピードで駆け上がる。道路にバイクのヘッドライトらしき明かりが灯りエンジン音が響いてから明かりは消え去った。

わかば「は〜、一時はどうなるかと思った。それにしても何やあの女は?ここら辺の言葉使いや無かったな。京都弁かアレ」

台湾「何しろ『ドゥ』やからな(笑 山ン中はけったいな奴が出てきよるもんやなぁ、たぬき御殿のお姫様か何かか?あれ」

わかば「とりあえず、この場から逃げ出すって言ってたけどここどこや?」

その質問に夜の雨の中、二人きりになってアシも無い状況を見てヤケクソ気味に台湾はこう言った。

「たぬき御殿の近くなんとちゃう?」

つづく