台湾ヤマハ&わかばマン 「神も仏も4」

すいません、どうもはてなでこの話を書いてるとパソコンが調子悪くなるんです。だから話をぶつ切りにして書かなきゃならんわけです。調子が乗らないから書くの辛いなぁ。

このお話はフィクションであり、実在の個人・団体・事件等とは一切関わりないんだってば。


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地獄の研修から寮に帰ってきた台湾が異変に気づいたのは啓子さんに電話をかけた時であった。
研修中は携帯が禁止されてて1日15時間それが続くので平日は無理、休みの日曜かけても最初の頃は出てたけど段々と「おでかけ中」とか「人と会ってて」とかであまり話してくれなくなったのだ。

そして今回寮に帰ってきてから電話したらば向こうは一方的に「別れて欲しい」と言ったきり2度と電話に出なかったのである。
ガックリ来て工場に出社した台湾は工場長に呼び出されて個室で面談することになった

工場長「悪いけど君は研修の結果、正社員として不適格と判断された。これは研修中から指摘されていただろう?期待に沿えなくて申し訳ないが人事部からそう判断されたのは自己責任ということで了承してくれ」

これを聞いて台湾の怒りは頂点に達した。啓子さんと台湾の共通の友人である山崎という中国残留孤児3世の女の子から啓子さんは工場長のすすめで工場長の息子と交際を始めた旨をさきほど聞いたばっかりで今回の研修も厄介払いのためだけに行ったこともこれで確実にわかった。

色々と理由はあろうが女に捨てられるとすれば自分に魅力が無かったからであろうとスカッと諦めるのが男らしいという考えの男・台湾であったが今回は工場長が職権を乱用してあれやこれやと裏工作までしていたのでこれに関しては落とし前をつけなければ気が済まなかった。
なお、石切連合との因縁ができたみすずちゃん絡みの一件でも職権を使ってみすずちゃんをコマそうとする石切連合に怒りを覚えたのもこの一件があったからだ。

そんなこんなで工場長を思いっきりぶん殴ろうと台湾が胸ぐらつかんだところでドヤドヤと大男が3人入り込んできた。彼らは工場長の大学の後輩にあたる元・空手部の若手社員で大阪本社から台湾を抑え込むために呼びつけてきた連中である。つまり台湾の行動も計算ずくだったのだ。

1ヶ月の地獄の研修で体がボロボロになっていた台湾だったのでこの3人に苦戦しつつも一歩も引かず戦い続けたがとうとう押さえ込まれてしまい、この3人によってカッターナイフで顔に傷を入れられてしまった。これは「2度と女の前に顔を出せないように」という目的である。

だまされ、女を奪われ、挙句に顔に傷を入れられてボコボコにされた台湾は寮に帰って荷造りすることなく大阪にすっ飛んで帰ってきて実家の自室に篭もり泣いた。
誰かを憎む気持ちよりもここまでされてやり返す力が無い自分が許せなかった。許せないとは言うものの力を付ける手段を持たない台湾は果たしてどうすれば良いのかわからなかった・・・・・。

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とまぁ、ここまでが台湾とわかばが現在いるお家の啓子さんとの関係についてのお話である。これを聞き終わったわかばはぞっとした顔で

わかば「お前、そんな因縁のある家にお泊まりして平気なんか?」

台湾「因縁って、麗しき青春の1ページやないか」

わかば「麗しきってこれストーカー行為ちゃうの?」

台湾「お前がそんな状態やからしゃあないやないか」

わかば「(自分の状態を確認してバツが悪くなり)う、う〜ん、まぁしゃあないんかなぁ。そ、それにしても啓子さんいうのもなんや薄情な人やなぁ」

台湾「薄情やないよ。むしろ頑固で性根がすわって情が厚いタイプの女や」

わかば「でも、お前にそんな仕打ちしたんやろ?最終的に」

台湾「仕打ちて・・。あの時はどうしょうもなかったんや。あの環境ではそうなるんや。奴隷と市民どっち選ぶ?いう選択やからな」

わかば「でもお前にひどいことせんかったって」

台湾「バイトや派遣社員にひどい仕打ちしとるのは日本全国どこの会社の正社員でも同じこと。お前も年越し派遣村とかの報道見たことあるやろ?アキバの事件知ってるやろ?あれが俺らの世界の現実の全てや。ディズニーランドもUSJも一戸建ての家も全てが遠い世界の出来事に感じる。それどころか街中に貼られてる広告ポスターの全部が自分に売り込むために作られてるように見えんようになるし、世の中の全ての会社の製品やサービスが自分を傷つけるためにだけ存在してるように感じる。何の希望も見出せなくなるんや。
派遣村の報道見て視聴者は皆最初はこういうんや。
『ああ、大企業はなんて無慈悲なんだろう』
次にこういう
『ああ、神も仏もないものか』
そして最後には必ずこういうんや
『どうでもいい、腹減った』
てな」


つづく