台湾ヤマハ&わかばマン 「神も仏も」

え〜、このお話「台湾ヤマハわかばマン」は本当は「非正規雇用労働者エクスプロイテーション」として考えたお話なんですね。
ところが上の動画の湯浅さんや清水さんをはじめとする反貧困の活動家の皆さんの足を引っ張る結果にしかならないと思い方向転換したんですが、今回のお話はそっちのお話の名残りとして貧困関係についてです。具体的な問題はこういう猛者に任せて貧困の中のメンタル的なモンを描きたいということで少ない体験談とあっちこっちから見聞きしたお話をごっちゃにしてお話を考えてます。
なお、今回の台湾についてのエピソードは私の実体験でなく某大手企業で起こった小さなお話をでっかくしてフィクション化しております。事実の方は性別が逆だったりします。
このお話はフィクションであり、登場する個人・団体・事件は現実のものとは一切関わりございません。と、一応しておきます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

後頭部を鉄パイプでど突かれたわかばが助手席でうずくまっているのを横目に台湾はミニバンを走らせて峠道を下る。時折苦しげにうなるわかばをいたわるべく声をかけてみる台湾

台湾「しっかりせぇ!こんなところで死んだらアカンぞ!お前子供の頃『大きなったらテコンV(韓国のTVアニメの巨大ロボット)になって板門店プルガサリ北朝鮮製作の怪獣映画の怪獣)と対決する』て俺に夢を語っとったやないか!」

わかば「アホウ・・・・、なんでお前にそんな愉快な夢語らなあかんのや・・・うう、死ぬ気はないけど・・やけど頭がくらくらする」

台湾「大丈夫や、くらくらしとってもブレーキフルードに細工するアイデアなんか冴えまくっとるやないか。とっさであんなん考えつくのはお前だけや」

わかば「身代わり作ってうまいこと相手を出し抜くえげつなさはお前ならではや・・・。あれができての次の一手やからな、わけないわ」

なんてことを話ながら、とりあえずどこか休める場所を考える台湾。病院に連れていくのが一番だけど今の状況を考えるとあまりにもハイリスク。そうこうしてる内に山を降りて街にさしかかった台湾は地名と景色を見て「アレ!?」と思った。心当たりを便りにとある住宅街にたどり着き、車を橋の下にこっそり駐車してある新築の一軒家の前までわかばをおぶってたどり着きインターホンを鳴らした。女性の声が返ってきた。

女性の声「はい」

台湾「啓子か?オレや、台湾や」

女性の声「・・・・・・帰ってや」

台湾「すまんけど、ツレ(友達)が怪我してるんや。事情があって病院にも行かれへんのや、ちょっとでええから休ましてくれ」

返事は無かったがしばらくして玄関が開いた。若い女性が現れてぐったりしたわかばを家の中に入れるのを手伝ってくれた。玄関の奥に赤ん坊を抱えた女性の夫と思われる男性が神妙な顔つきで台湾とわかばを見て「おい、帰ってもらおうよ」と小さな声で語ったが

台湾「すんませんけど、ちょっとの間だけでええんでよろしくお願いします」

と、礼儀正しくお願いし、啓子さんと呼ばれた女性もわかばの状況を見て「こんな事態だから」と夫を説得したので渋々ながら空き部屋に毛布を敷いてわかばを寝かすことになった。

わかばが休んでいる間、ダイニングで啓子さんが台湾に食事を作って食べさせてながら、事情を夫と二人で聞いた。台湾は石切連合とかのヤバそうな事情は語らなかったがわかばが本人の落ち度なく彼女(みすずちゃん)をめぐるいさかいで質の悪い連中に目をつけられてトラブルに巻き込まれていることだけ話した。

夫「う〜ん、そういう事情だと我々にしてあげられることはほとんど無いなぁ。申し訳ないけど」

啓子さん「ところでどうしてここがわかったの?」

台湾「工場で一緒に働いてた山崎ってコ覚えとるか?中国残留孤児3世の。あのコここに呼んだことあるんやろ?あのコと大阪でバッタリ会うてな。いろいろと聞いてないことまで教えてくれよったんや。啓子さんは大きいお寺から坂を下ったとこにある家に住んどる、いうてな」

夫「それで。ここがわかってたのに君は啓子に今まで会いにこようとしなかったわけやね。つまり会いたくなかったわけや。それが今回急に転がり込んできたということは事態は相当深刻ととらえていいね」

台湾「(一瞬間を空けて)ええ」

夫「すまんけど、お互いのためにお連れの容態が良くなったらすぐに出て行ってくれ。見たところ容態は心配は無さそうや。それと、家にあるPCのネットや携帯は使用せんといてくれ。食べ物は冷蔵庫から何でも持っていっていい。薬とかアイスノンは今から妻に買い出しに行かせるから欲しいものは今のうちに妻に言っておくように」

台湾「色々とすいません」


そんなこんなでわかばの傍らでずっと看病をする台湾。わかばが目を覚ましたのは深夜2時をまわった頃だった。



途中だけどつづく