台湾ヤマハ&わかばマン 「運命を変えろ」

いや〜、前回の話といい、この台湾の過去のお話は「企業の性 悪なりX3」という前提を読んでる人に刷り込むために絶対不可決なシーケンスなんですが異様にかったるいんですな。
なんとかここをさらっと済ましたかったんですが、企業のお偉いさんが自分のわがままで非正社員の子供を堕胎させるというエゲつない展開を入れんことには後の展開は意味を成さないんでご理解ください。(普通小説とかだとこういう言い訳は絶対ありえないんですが、これは脳内映画ですので何でもありなのです)

なお、このお話はフィクションであり登場する個人・団体・事件等は実在のそれとは一切関わりありません。
なお、作品中の固有名詞(「南河内大学」「凍死者大学」「シルヴァーマン・オックス」等は気分次第で勝手に変更されることがございますのでご了承ください。「シルヴァーマン・オックス」は「ゴキブリマン・サックス・インターナショナル(Gokiburiman SUCKS international と書きますw)に変更するかもしれません(笑

「こいつらの企業シンボルは金のゴキブリで、こいつらが買収した企業は会社のロゴにゴキブリの触覚を表す金の2本ラインが入る」という設定なんですが怒られるやろうなぁ(笑

もちろん、この会社も実在の企業のモデルはございませんよ、完全なる私の空想の産物です(笑

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食べ物を持ってわかばの部屋に入った台湾。わかばはあぐらを書いて下を向いて考え事をしていた。

台湾「どうした?まだしんどいんか?」

わかば「う・・ん、ちょっと考え事してた」

台湾「何を?」

わかば「お前のことや。お前が大阪に帰ってきた時、何かふてくされてたように見えたんや。仕事もせんとブラブラしてるしな。何があったか知らんけどふてくされてるお前はえらいカッコ悪ぅ見えたんやけど今ならお前の気持ちがわかるわ、お前はふててたんや無い。自分が自分を陥れた連中と同じ人間になるのが恐いんや。一生懸命働いても結果あんな連中(工場長みたいな)になるんやったら最悪やからな」

台湾「(にっこり笑いながら)ははは、俺そこまで考えたことなかったけどな。ただ、今のままやとがんばっても末路は暗いやろな、とは思たよ。『怠けとったら落ちぶれる』ゆうのとは別の意味でな」

わかば「俺はサラリーマンやっとたけど、これが自分の本当にやりたいことなんかなぁ、いうのはずっと思てたんや。それでもまっとうな仕事できるだけでもマシや思て仕事やっとったんやけどな。家賃の支払いの管理を請け負うようになってきたからなぁ・・・」

台湾「お前の勤めとった会社って信販会社やろ?」

わかば「それをうちの会社が管轄するようになったんや。アパートやマンションの入居の時にも色々とややこしい手続きあるやろ?保証人が要ったり。それが信販会社を通して家賃を管理するようになったら信用販売の既定が適応されてこれがさらに厳しくなるわけや。早い話がヤーサンとか在日外国人とかのわけありの人たちを入居しにくうするアイデアやな」

台湾「はは、えげつない話やな」

わかば「そんな仕事は結局弱者いじめやからな。ほとほと愛想尽きた時にプロデビューの話が来てホイホイ着いて行ったらこのざまや。情けなかったから三下生活でも4ヶ月辛抱しつづけてたな。世の中甘ぁ見た自分に対する罰や思たわ」

台湾「そう思うんはええ心がけかもしれんけどな。お前はお前一人の体や無いやろ?そろそろ立ち上がる時やろ?みすずちゃんのために(と言って座ってるわかばに手を差し出して立ち上がらせてやる)」

わかば「ああ、お前も自分の運命変える時期やろ。俺もできるだけ協力する」

台湾「俺、お前に運命変えてもらいたないなぁ」

☆☆☆

そんなこんなで夜が明けて次の日の早朝。玄関を出たところで見送りの旦那さんが二人の前でこう行った。

旦那さん「困った事態の時に大したことができなくて申し訳ないが、君たちが一刻も早くトラブルを解決してくれることを願ってる。問題が解決したらまた是非家に寄ってくれ。バーベキューをご馳走しよう」

台湾「こちらこそ急にお邪魔して申し訳なかったです」
と、口では丁寧にお礼を言ったが内心では「トラブルが無かったらこんなとこ来るかヴォケェ!」と思っていた。

台湾&わかば「それではこれで失礼します」

と二人が出て行こうとしたところで後ろの高いところから「台湾!」という啓子さんの声がしたので台湾が振り返って上を見ると何かが覆い被さって視界が真っ暗になった。覆い被さった物を見ると革ジャンであった。家の2階の窓から啓子さんが投げたのだ。

この革ジャン、啓子さんと付き合ってたころに台湾が愛用してたもので1980年前後に旧西ドイツのハイン・ゲリック社がハーレー・ダウ゛ィッドソン社の名義で製作したダブルブレストで襟が立ち襟のいわゆるセミダブルと呼ばれる形状の革ジャンである。映画でスタローン(「ロッキー3」)やトラヴォルタ(「ステイン・アライブ」)で着てた革ジャン・マニアの間では有名な逸品である。これを着ていつの日か啓子さんとハーレーに乗ってツーリングするのが当時の台湾の夢であった。
寮を飛び出して大阪に帰る際に寮に忘れていった物だが啓子さんはこれを思い出の品として保管していたらしく革の状態はよく手入れしてあった。啓子さんもいつの日か台湾に再会し、これを台湾に返したいと思っていたらしい。

それを手に取って台湾は口元を緩めてニコリと笑い、Tシャツの上から革ジャンを羽織って景気よく「行くか!!」と叫んで啓子さん宅を後にした。


続く